
中低所得者向けに導入される新たな「所得連動型給付」をめぐり、大きな動きがありました。
2026年9月11日、政府と地方自治体側は、新しい給付制度の財源について、国が3分の2以上を負担し、残りを都道府県と市町村が分担する案で合意しました。
新しい給付制度の名称は「就業者負担軽減支援金」です。
2027年度から先行して給付を始め、2029年度から本格的な所得連動型給付へ移行する方針となっています。
気になるのは、
「結局いくらもらえる?」
「年収いくらまで対象?」
「いつ振り込まれる?」
「国が3分の2負担なら給付額も決まった?」
という点でしょう。
結論からいうと、2026年9月11日時点では、財源の負担ルールは大きく前進したものの、1人あたりの具体的な給付額や所得上限はまだ決まっていません。
一方で、2027年度からの先行給付、2029年度からの本格導入、公金受取口座を使った申請不要の振込など、制度の全体像はかなり具体化してきています。
所得連動型給付とは?
所得連動型給付とは、その名前の通り、所得に応じて給付額を変える仕組みです。
これまで行われてきた、
「全国民に一律10万円」
「住民税非課税世帯だけに3万円」
といった給付とは異なり、中所得・低所得の現役勤労者を中心に、所得状況に応じて支援額を調整する仕組みが検討されています。
政府はこの制度について、中低所得の現役勤労者の税・社会保険料負担を軽減し、「手取りを増やす」ことを目的に掲げています。
さらに、収入が増えることで給付や控除が急になくなる、いわゆる「年収の壁」による働き控えを減らすことも狙いです。
制度名は「就業者負担軽減支援金」
2026年9月8日に政府が示した大綱案では、新しい給付制度の名称を「就業者負担軽減支援金」としています。
まず2027年度と2028年度に先行的な給付を実施し、その後、2029年度から本格的な所得連動型の給付制度へ移行する予定です。
単発の「物価高給付金」ではなく、将来的には恒久的な所得支援制度へ発展させることを想定している点が大きな特徴です。
国が「3分の2以上」を負担することで合意
2026年9月11日、政府と自治体側は給付制度の財源負担について合意しました。
基本的な考え方は、
国:3分の2以上
地方:残り
です。
地方が負担する分については、都道府県と市町村が半分ずつ負担します。
仮に国がちょうど3分の2を負担するとすると、
国:約66.7%
都道府県:約16.7%
市町村:約16.7%
というイメージになります。
ただし「国が3分の2以上」であるため、国の負担割合がさらに大きくなる可能性もあります。
また、地方自治体が負担する分についても、地方交付税などを使って国が財源措置を行う方針です。
地方交付税を受け取っていない東京都などの不交付団体についても、別の財政措置が検討されています。
「3分の2もらえる」という意味ではないので注意
今回のニュースで誤解しやすいポイントがあります。
「国が3分の2以上を負担」
というのは、私たちが受け取る給付金の3分の2を国が払うという意味ではありません。
あくまで、給付制度全体に必要な財源を、
国
都道府県
市町村
でどう分担するかという話です。
したがって、
「10万円の給付金が決まって、そのうち6万6,000円を国が負担する」
といった意味ではありません。
給付額そのものは別途決定されます。
給付額はいくらになる?
2026年9月11日時点では、具体的な給付額はまだ決定していません。
政府が示しているのは、2027年度と2028年度については「飲食料品にかかる消費税1%相当分の範囲内」で先行給付するという方針です。
そのため、
1人3万円
1人5万円
1世帯10万円
などの具体額が正式決定したわけではありません。
さらに、今回の制度は所得連動型です。
全員に同じ金額を配るのではなく、所得が低い人ほど手厚くし、所得が高くなるにつれて給付額を減らす仕組みになる可能性があります。
現段階では、
・最大給付額
・給付が始まる年収
・給付がなくなる年収
・配偶者や子どもの扱い
・世帯単位か個人単位か
といった重要部分が最終確定していません。
2027・2028年度は「先行給付」
所得連動型給付は、いきなり完成形で始まるわけではありません。
政府は2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、現在8%となっている飲食料品の消費税率を1%へ引き下げる方針です。
そして残る1%相当分について、所得連動型の給付を組み合わせます。
つまり政府は、
飲食料品の消費税を8%から1%へ減税
+
中低所得者にはさらに所得連動給付
という組み合わせによって、対象となる中低所得者について「飲食料品の消費税実質ゼロ」に近い状態を作る考えです。
最初の給付はいつ?
給付制度は2027年度から先行導入されます。
ただし、「2027年4月1日に給付金が振り込まれる」という意味ではありません。
高市首相はこれまで、公的機関が保有している所得情報を利用し、2027年6月の住民税賦課決定後に所得連動給付を先行導入する予定だと説明しています。
そのため、現時点で考えられるスケジュールは、
2027年4月
飲食料品の消費税を1%へ引き下げ
2027年6月以降
所得情報が確定した後、就業者負担軽減支援金を先行導入
2027~2028年度
消費税1%相当分の範囲内で先行給付
2029年4月
飲食料品の消費税率を8%へ戻す予定
2029年度
本格的な所得連動型給付を開始
という流れです。
具体的な初回振込日はまだ決まっていません。
2029年度から給付額が拡大へ
重要なのが2029年度です。
政府は2027年度と2028年度を「つなぎ」の期間と位置付けています。
この期間は飲食料品の消費税1%相当分の範囲で給付しますが、2029年度からは本格的な所得連動型給付へ移行します。
政府は、中所得・低所得の現役勤労者について、本格導入後の支援額が、飲食料品の消費税を1%へ引き下げることによる負担軽減効果を上回るような制度を目指すとしています。
つまり、2027年度の給付額がそのまま2029年度以降も続くとは限りません。
むしろ2029年度から制度規模が拡大する可能性があります。
2029年4月には「半年分の先行給付」も?
政府が9月8日に示した大綱案では、2029年度の本格導入時についても重要な仕組みが検討されています。
本格的な所得連動給付は所得情報を利用するため、実際の給付時期が秋頃になる可能性があります。
一方で飲食料品の消費税率は2029年4月に1%から8%へ戻す予定です。
そのままでは、
4月:消費税負担が増える
秋:給付金が入る
というタイムラグが生じます。
そこで大綱案では、2029年4月に半年分相当の給付を前倒しする案が示されています。
これはまだ最終的な給付額が決まったという意味ではありませんが、消費税率が戻った直後に家計負担だけが増えることを避ける仕組みとして検討されています。
公金受取口座なら申請不要になる可能性
給付方法についても、これまでの給付金とは大きく変わる可能性があります。
2026年9月11日の協議では、公金受取口座を登録している人について、自治体が本人から申請を受けなくても振り込める仕組みにする方針が示されています。
これが実現すれば、
自治体から申請書が届く
↓
申請書を書く
↓
口座情報を記入
↓
本人確認書類をコピー
↓
自治体へ返送
↓
審査
↓
振込
といった従来の給付金手続きが大幅に簡略化される可能性があります。
給付対象者の所得情報とマイナンバー、公金受取口座を連携し、自動的に対象者を判定して振り込む仕組みが想定されています。
公金受取口座を登録していない人はどうなる?
公金受取口座を登録していないからといって、給付対象外になると決まったわけではありません。
過去の政府の検討資料では、公金受取口座がない人については、自治体から確認書を送付する方式などが想定されています。
ただし、公金受取口座を登録済みの人と比べると、確認や申請に時間がかかる可能性があります。
制度開始前に、自分の公金受取口座の登録状況をマイナポータルなどで確認しておくとよいでしょう。
誰が対象になる?
政府が主な対象としているのは、
中所得の現役勤労者
低所得の現役勤労者
です。
政府は「税・社会保険料負担」と現金給付を一体的に考え、所得に応じて手取りを増やす仕組みを目指しています。
一方、
「年収300万円以下」
「年収500万円以下」
「住民税非課税世帯」
などの具体的な所得基準はまだ決定していません。
これまでの住民税非課税世帯向け給付金とは対象者が異なる可能性があります。
高齢者はもらえない?
就労していない高齢者については、所得連動型給付の中心対象にはならない可能性があります。
ただし政府は、所得連動型給付と既存の年金・社会保障制度の両方から取り残される人を出さないよう、別の支援方法を検討するとしています。
そのため、
「高齢者には何の給付もない」
と決まったわけではありません。
年金制度や低所得者向け給付などを含め、2029年度の本格導入までに制度設計が進められる予定です。
今後のスケジュールはどうなる?
2026年9月11日の合意によって、給付制度は制度化に向けてさらに一歩進みました。
今後の重要な日程は次のようになります。
2026年9月15日ごろ
政府は今回合意した財源負担などを大綱に反映し、閣議決定する見通しです。
2026年秋
政府は関連法案を臨時国会へ提出し、早期成立を目指します。
2026年末まで
国と地方は協議を続け、さらに詳細な財源負担や実務上の役割分担を決める予定です。
2027年4月1日
飲食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げる予定です。
2027年6月以降
住民税の所得情報などを利用し、就業者負担軽減支援金を先行導入する予定です。
2027~2028年度
消費税1%相当分の範囲で所得連動給付を実施します。
2029年度
本格的な所得連動型給付制度へ移行します。
今回の合意で何が決まって、何が未定?
今回のニュースを整理すると、次のようになります。
決まった・方向性が固まったこと
・新制度の名称は「就業者負担軽減支援金」
・国が給付財源の3分の2以上を負担
・残りを都道府県と市町村が分担
・地方負担分は地方交付税などで財政措置
・2027年度から先行導入
・2029年度から本格導入
・公金受取口座登録者への申請不要給付を目指す
一方、まだ決まっていないのは、
・1人あたりの最大給付額
・具体的な所得制限
・所得別の給付額
・正式な初回振込日
・細かな申請方法
・2029年度以降の具体的な給付水準
です。
したがって、現段階で「1人○万円もらえる」と断定する情報には注意しましょう。
まとめ
2026年9月11日、政府と地方自治体側は、所得連動型給付の財源について「国が3分の2以上を負担する」案で合意しました。
これは制度実現に向けた大きな前進です。
一方、「3分の2」という数字は個人が受け取る給付額を示すものではなく、国と自治体の財源負担割合です。
2026年9月11日時点では、具体的な1人あたりの給付額や所得上限はまだ決まっていません。
今後は、
2026年9月:大綱の閣議決定
2026年秋:関連法案を国会へ
2026年末:国・地方の詳細協議
2027年4月:飲食料品の消費税を1%へ
2027年6月以降:所得連動給付を先行導入
2029年度:本格的な所得連動型給付へ移行
という流れが想定されています。
特に今後注目したいのは、
「年収いくらまで対象になるのか」
「最大いくらもらえるのか」
「2027年の初回振込日はいつか」
の3点です。
給付額が正式に公表されれば、住民税非課税世帯だけではなく、中所得層を含む多くの現役世代に影響する大型の給付制度になる可能性があります。
よくある質問
Q. 国が3分の2負担なら、給付金の3分の2を国からもらえるのですか?
違います。3分の2は国・自治体間の財源負担割合です。個人の給付額を示す数字ではありません。
Q. 給付額はいくらですか?
2026年9月11日時点では正式な金額は決まっていません。2027・2028年度は飲食料品の消費税1%相当分の範囲内で給付する方針です。
Q. 給付金はいつからもらえますか?
2027年度から先行導入予定です。政府はこれまで、2027年6月の住民税賦課決定後の導入を想定すると説明しています。具体的な振込日は未定です。
Q. 全員がもらえる給付金ですか?
全国民への一律給付ではありません。主に中所得・低所得の現役勤労者を対象として、所得に応じて給付額を変える仕組みが検討されています。
Q. 申請は必要ですか?
公金受取口座を登録している人については、自治体が申請を受けずに振り込める仕組みを導入する方針です。ただし最終的な手続方法は今後決まります。
Q. 住民税非課税世帯だけが対象ですか?
現時点ではそのように決まっていません。今回の制度は低所得者だけでなく、中所得の現役勤労者も主な対象として検討されています。
※本記事は2026年9月11日時点の内閣官房、首相官邸の公表情報および同日の国・地方協議に関する報道をもとに作成しています。給付額、対象となる所得水準、支給時期、申請方法などは今後変更・具体化される可能性があります。
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