
各省庁から令和9年度(2027年度)予算の概算要求が出そろいました。
「来年は新しい給付金が出るの?」「物価高の一律給付はまたある?」「児童手当や妊婦への10万円はどうなる?」
家計に直結するだけに、気になる人も多いのではないでしょうか。
今回の予算・政府方針を追っていくと、今後の給付金にはかなり大きな変化が見えてきます。
最大のポイントは、政府がこれまでのような「一律○万円」という臨時給付だけではなく、所得に応じて支給額を変える新しい給付制度を2027年度から先行導入する方針を決めていることです。政府は中低所得の現役勤労者の負担軽減と「年収の壁」による働き控えの緩和を目的として、令和11年度(2029年度)から「所得に連動したきめ細かな給付」を本格導入し、令和9年度から先行して実施するとしています。
さらに2026年9月8日、政府と地方自治体による協議の場では、先行制度について**「就業者負担軽減支援金」**という名称を盛り込んだ大綱案が提示されました。
重要:2026年9月8日時点では、就業者負担軽減支援金の最終的な支給額や所得基準などはまだ確定していません。また、令和9年度の各省庁の「概算要求」は最終的な予算ではなく、今後の査定や国会審議などで内容・金額が変更される可能性があります。
2027年度、個人向け給付金はどうなる?
大きく分けると、今後の家計支援は次の3本柱になりそうです。
1つ目が、中低所得で働く人を中心とする新しい所得連動型給付。
2つ目が、児童手当や妊婦支援給付金、育児休業等給付などの既存の恒久的な給付制度。
3つ目が、急激な物価高や災害などが発生した場合に行われる可能性がある臨時の経済対策です。
これまで以上に、「全員一律」よりも、所得や家族構成、就労状況に応じて対象を決める方向が強まっていると考えられます。
【最大の注目】働く中低所得者向けの新給付を2027年度に先行導入
最も注目したいのが、「所得に連動したきめ細かな給付」です。
政府は2026年8月5日に閣議決定した基本方針で、中低所得の現役勤労者に着目した新制度を令和11年度(2029年度)から本格導入するとしています。
目的は主に、
- 税や社会保険料を差し引いた後の手取りを増やす
- 「年収の壁」による働き控えを緩和する
- 一律給付ではなく所得に応じてきめ細かく支援する
ことです。
そして本格導入を待たず、令和9年度(2027年度)から先行給付を行う方針です。
2026年9月8日に開催された「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議では、この先行制度について、
「就業者負担軽減支援金」
という名称を盛り込んだ大綱案が示されました。
つまり2027年度は、日本の給付金制度が「一時的な一律給付」から「所得に応じた継続的な給付」へ変わっていく最初の年になる可能性があります。
いくらもらえる?
ここは現時点で最も注意が必要です。
具体的な1人当たり支給額は、まだ確定していません。
政府が現在示しているのは、先行給付を**「飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内」**で実施するという基本的な考え方です。
そのため、「1人3万円」「1世帯5万円」といった定額の給付金として発表されているわけではありません。
所得によって支給額が変化する仕組みになるため、今後発表される、
所得区分・支給上限・給付額の計算方法
が最大のチェックポイントとなります。
政府のこれまでの検討資料では、2027年度の先行制度について15歳以下の子どもの人数に応じた加算を設ける方向も示されています。
子育て世帯の場合、本人分だけでなく子ども加算が給付額に影響する可能性があります。
2027年4月から「飲食料品の消費税1%」も予定
給付金とセットで進められているのが、飲食料品の消費税率引き下げです。
政府の基本方針では、
2027年4月1日から2年間、現在軽減税率8%が適用されている飲食料品について消費税率を1%とする
方針が示されています。
さらに所得連動給付を組み合わせることで、政府は全体として「飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化」を目指すとしています。
つまり2027年度の物価高対策は、
「消費税率の引き下げ+所得に応じた給付」
という形になる可能性が高いわけです。
児童手当は2027年度も継続へ
子育て世帯にとって大きいのが児童手当です。
現在の児童手当は、高校生年代までが対象となっており、1人当たり月額は、
- 3歳未満:15,000円
- 3歳以上~高校生年代:10,000円
- 第3子以降:月30,000円
となっています。
こども家庭庁は令和9年度予算の概算要求資料を公表しており、児童手当など既存の子育て支援を引き続き大きな柱としています。
令和9年度のこども家庭庁の概算要求総額は7兆7,436億円で、このうち児童手当には約2兆700億円が要求されています。
現時点では、児童手当を2027年度に終了するような方針は示されていません。
妊婦への「10万円相当」の給付も継続見込み
妊娠・出産時の経済支援も重要です。
現在の「妊婦のための支援給付」では、
妊娠に対して5万円+妊娠している子ども1人につき5万円
が支給されます。
単胎妊娠であれば合計10万円、双子の場合は合計15万円となる仕組みです。制度は2025年度から法律に基づく給付として実施されています。
令和9年度の概算要求でも、妊婦への給付について約800億円が要求されています。
そのため、こちらも2027年度に突然終了する制度というより、恒久的な子育て支援として継続していく可能性が高いと考えられます。
育休中・時短勤務中の給付も続く
働く子育て世帯では、「育児休業等給付」も大きな支援です。
現在は通常の育児休業給付に加え、一定の条件を満たして夫婦ともに育休を取得した場合、
出生後休業支援給付金
として最大28日間、休業開始前賃金の13%相当が上乗せされます。
通常の育児休業給付67%と合わせると給付率は80%となり、社会保険料免除なども含め手取り10割相当になる仕組みです。
また、2歳未満の子どもを育てるため時短勤務をする場合には、原則として時短勤務中の賃金の10%相当を支給する「育児時短就業給付金」もあります。
令和9年度の概算要求では育児休業などの給付に約1兆1,300億円が要求されています。
高齢者向け「年金生活者支援給付金」はどうなる?
低所得の年金受給者については、現在も「年金生活者支援給付金」があります。
これは公的年金などの所得が一定基準以下の人に対し、年金へ上乗せして支給する恒久制度です。
2027年度の具体的な給付基準額は今後の改定を確認する必要がありますが、現時点で制度そのものを廃止する方針は示されていません。
一方、今回新たに検討されている所得連動給付は、政府が特に**「中低所得の現役勤労者」**に着目して制度設計を進めています。
そのため、新制度については「低所得なら高齢者も一律に対象」と現段階で考えるのは早計です。
「全国民に一律○万円」の給付金はある?
2026年9月8日時点で公表されている令和9年度概算要求や政府の基本方針を確認する限り、「全国民に一律○万円を給付する」という新たな全国一律給付は示されていません。
政府が現在具体化を進めているのは、むしろ所得に連動して支援額を変える仕組みです。
政府資料でも、この新制度について、過去の経済対策で行われた「一律の金額での給付」とは異なり、所得に連動した支援を毎年度継続的に行う制度として検討されています。
もちろん、今後大規模な物価高や景気悪化、災害などが起きれば、補正予算による臨時給付が追加される可能性はあります。
ただし、現段階では「全国民に○万円が決まった」といえる状況ではありません。
令和9年度の概算要求は約143.1兆円
財務省によると、令和9年度一般会計の概算要求額は約143.1兆円です。
ただし、ここで注意したいのが「概算要求」という言葉です。
概算要求は各省庁が財務省に対して「来年度、この程度の予算が必要です」と提出する段階であり、そのまま全額が予算になるわけではありません。
今後、財務省による査定や政府内の調整を経て予算案が決まり、国会で審議されます。
したがって、
「概算要求に載った=来年必ずその金額が支給される」
という意味ではありません。
財務省は今回の令和9年度予算について、補正予算への依存を減らし、恒常的な施策については当初予算で措置する予算編成改革の初年度と説明しています。
この点も、今後の給付政策を見るうえでは重要です。
今後の給付金は「一律」から「所得連動」へ?
今回の政府方針を整理すると、日本の個人向け給付はかなり大きな転換期に入ったといえそうです。
これまでは物価高などが起こるたびに、
「住民税非課税世帯に○万円」
「子ども1人につき○万円」
「全国民に○万円を検討」
といった単発の給付策が注目されてきました。
一方、政府が2029年度から本格導入する方針の「所得に連動したきめ細かな給付」は、毎年度継続的に所得に応じて支援する制度を目指しています。
ロードマップを整理すると、
2027年4月
飲食料品の消費税率を1%へ引き下げる予定
↓
2027年度
所得連動給付を先行導入
「就業者負担軽減支援金」の制度設計を進める
↓
2029年度
「所得に連動したきめ細かな給付」を本格導入
という流れです。
今後は「給付金があるか、ないか」だけでなく、
自分の所得ならいくら対象になるのか
が重要になる時代に変わっていきそうです。
この記事のポイント
- 2027年度から中低所得の現役勤労者向け「所得連動給付」を先行導入する政府方針
- 2026年9月8日に「就業者負担軽減支援金」の大綱案が提示された
- 具体的な支給額・所得基準はまだ確定していない
- 2027年4月から2年間、飲食料品の消費税率を1%とする方針
- 児童手当は令和9年度も継続を前提とした予算要求
- 妊婦への5万円+胎児1人5万円の給付も継続見込み
- 育児休業・時短勤務に関する給付も引き続き実施
- 現時点では新たな全国民一律給付は確認されていない
- 概算要求は「決定」ではなく、今後内容が変更される可能性がある
よくある質問
Q:2027年度に新しい給付金がもらえるのですか?
政府は令和9年度から「所得に連動したきめ細かな給付」を先行導入する方針を決定しています。9月8日の政府・地方協議では「就業者負担軽減支援金」という名称を盛り込んだ大綱案が示されました。ただし、具体的な支給額や所得基準はまだ確定していません。
Q:誰が対象になりますか?
政府は主に中低所得の現役勤労者を念頭に制度設計しています。ただし、「年収○万円以下」などの最終的な所得基準は今後決まります。
Q:いくら支給されますか?
2026年9月8日時点では具体的な支給額は確定していません。「飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内」で所得に応じて給付する方針が示されています。
Q:子どもがいると給付額は増えますか?
政府のこれまでの検討資料では、2027年度の先行給付について15歳以下の子どもの人数に応じた加算を行う方向が示されています。ただし、最終的な制度内容は今後の正式決定を確認する必要があります。
Q:全国民が対象ですか?
現時点で、全国民全員を対象とする一律給付として発表されている制度ではありません。政府は中低所得の現役勤労者に重点を置いた所得連動型の制度を検討しています。
Q:児童手当はなくなりますか?
現時点で廃止方針は示されていません。令和9年度の概算要求でも児童手当は主要な支援として予算要求されています。
Q:妊娠すると10万円もらえる制度は続きますか?
現在の「妊婦のための支援給付」は法律に基づく制度で、妊娠について5万円、さらに胎児1人につき5万円が支給されます。令和9年度概算要求にも関連予算が盛り込まれています。
Q:2027年度の給付内容はいつ確定しますか?
令和9年度予算については今後の予算編成で内容が精査されます。また、「就業者負担軽減支援金」は現在制度設計の途中です。所得要件・支給額・申請方法などについては今後の政府発表を確認する必要があります。
公式情報
一次情報を中心に確認:
内閣官房「飲食料品に係る消費税率の引下げ及び給付付き税額控除(政府の基本方針)」
内閣官房「給付付き税額控除に関する国と地方の協議の場(第3回・2026年9月8日)」
財務省「令和9年度予算」
こども家庭庁「令和9年度予算概算要求」
こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
こども家庭庁「妊婦のための支援給付」
厚生労働省「育児休業等給付について」
厚生労働省「年金生活者支援給付金」
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