福島県いわき市で2026年9月7日、大雨によってアンダーパスが冠水し、車2台が水没する事故が発生しました。

この事故では、車内に取り残された60代の女性が消防に救助され病院へ搬送されましたが、その後、死亡が確認されています。もう1台の車に乗っていた人は自力で脱出し、けがはなかったと報じられています。

事故をめぐって注目されているのが、市がアンダーパスの水位上昇を把握したタイミングです。

福島テレビがいわき市の説明として報じたところによると、119番通報は9月7日午前7時47分。市が浸水情報を確認できたのは、そのわずか3分前だったといいます。現場で通行止めが実施されたのは通報から21分後でした。

冠水したのは「冠水危険箇所」に指定されていたアンダーパス

事故が起きたのは、いわき市鹿島町米田のアンダーパスです。

市によると、この場所は福島県の「冠水危険箇所」に指定されていました。全長約30メートル、幅約10メートル、高さ約5メートルで、大雨に備えて予備を含む3台の排水ポンプが設置されていました。

さらに、8月28日には緊急点検が行われ、9月4日には排水部分にたまった落ち葉などの清掃も実施。設備に不具合はなく、事故当日もポンプ自体は稼働していたということです。

それでも冠水を防げませんでした。

市は、排水先となる川の水位が上昇したことなどによって排水が十分に行えず、雨水の流入スピードに排水能力が追いつかないまま、短時間で急激に冠水が進んだ可能性があるとしています。

内田広之いわき市長は、市内のアンダーパスを緊急点検するとともに、事前の通行規制など新たな対策を検討する考えを示しています。

いわき市では「9月として観測史上最大」の大雨

今回の大雨では、いわき市山田で24時間降水量199.5ミリを観測し、9月として観測史上最大となりました。

いわき市は事故前日の9月6日、市民に対し「これまでにない大雨になるおそれがある」として、低い土地の浸水や河川氾濫への警戒を呼びかけていました。

9月7日午前8時11分にはいわき市に「レベル4大雨危険警報」が発表され、市は午前8時45分、市内全域に避難指示を発令しています。

今回の事故は、アンダーパスなど低い道路では水位が短時間で大きく変化する危険性を改めて示した形です。

いわき市も「道路冠水注意箇所マップ」を公開し、道路が冠水している場合には無理に進入せず、安全な道路へ迂回するよう呼びかけています。

大雨で被災したとき「給付金・減免制度」はある?

大雨や洪水で自宅や車が被害を受けた場合、民間保険だけでなく、公的な給付・減免制度を利用できるケースがあります。

ただし、ここで重要なのは、今回の9月7日の大雨について、すべての制度の適用がすでに決定しているわけではないという点です。

制度によって災害規模や被害程度などの条件が異なるため、「今回の事故が起きたから自動的に○万円支給される」というものではありません。

災害による死亡では「災害弔慰金」が最大500万円

いわき市には、一定規模以上の自然災害によって亡くなった人の遺族を対象とする「災害弔慰金」の制度があります。

支給額は、亡くなった人が主として生計を維持していた場合は500万円、それ以外の場合は250万円です。

ただし対象となるのは、たとえば「市町村内で住居を失った世帯が5世帯以上」「都道府県内で災害救助法が適用された市町村がある」など、法律上の規模要件を満たす自然災害です。

2026年9月8日時点で確認できるいわき市の公表情報では、今回の9月7日の大雨について、この災害弔慰金の対象災害に該当するとする正式発表は確認できません。

したがって、「今回死亡した女性の遺族に500万円が支給される」と断定することはできません。

今後の被害状況や市・県の発表を確認する必要があります。

いわき市独自の「被災救助費」も

いわき市では別に、市独自の「被災救助費」の制度を設けています。

市の案内では、水害などで住家が被災した場合、全壊・流失・水没なら1世帯10万円+被災者1人につき2万円、半壊なら1世帯5万円+1人1万円、床上浸水なら1世帯3万円が支給される仕組みです。

また、市の被災者救済制度では、災害による死亡について大人1人20万円、義務教育終了前までの人1人10万円の弔慰金を案内しています。

こちらについても、実際の支給可否は市による被災状況の認定などによって決まります。

水没した「車」にも公的な税軽減制度がある

今回の事故では車そのものが水没していますが、大雨で自動車が被災した場合にも確認しておきたい制度があります。

福島県では、災害で損害を受けた自動車について、自動車税の減免制度を設けています。2026年度から従来の「自動車税種別割」は名称が「自動車税」に変更されています。

保険金などで補填される金額を差し引いた修繕費が、被災直前の自動車価額の30%以上になる場合が対象です。

修繕費の割合に応じ、税額の30%、40%または50%が減免される仕組みとなっています。

つまり、大雨で車が水没・故障した場合は、

「車両保険だけ確認して終わり」ではなく、自動車税の減免対象にならないかも確認する価値があります。

車の被害は「被災証明願」の対象

いわき市では、住宅の被害については「り災証明書」を発行しています。

一方、車両や家財など建物以外の被害については「被災証明願」の対象です。

市は、車両についても被害状況が分かる写真などを確認したうえで、被災した事実を証明するとしています。

そのため大雨で車が冠水した場合は、片付けや廃車手続きを急ぐ前に、ナンバープレートを含めて車全体、浸水位置、車内、周囲の状況などを写真で記録しておくことが重要です。

通勤用の車なら「雑損控除」の対象になる可能性も

災害による損失では、所得税の「雑損控除」が使える場合もあります。

国税庁によると、災害などで生活に通常必要な資産が被害を受けた場合、一定額を所得から控除できます。

車についても一律に対象外というわけではありません。

国税庁は、本人や生計を同じくする家族が専ら通勤などに使用している車で、生活に通常必要な資産と認められる場合には雑損控除の対象になるとしています。

高額な修理費や廃車による損失が生じた場合は、保険金額なども確認したうえで税務署や税理士に相談するとよいでしょう。

大雨で被害を受けたら、まず「写真」を残しておく

今回のような大雨では、人的被害だけでなく、住宅、家財、自動車などに広範な被害が発生することがあります。

支援制度や税の減免、保険請求では、被害を受けた事実を後から確認できる資料が重要になります。

特に、清掃や修理、廃車をする前に被害状況を写真で残しておくこと、修理見積書や領収書、保険会社からの支払通知などを保管することが大切です。

いわき市も、住家については自然災害発生時の状況を可能な限り写真で記録しておくよう案内しています。車両についても被災証明願の際に被害写真を確認するとしています。

今回の事故を受け、市はアンダーパス対策を検証へ

今回の事故では、排水ポンプが停止していたわけではありませんでした。

事前点検も清掃も実施されていたにもかかわらず、短時間の激しい雨と河川水位の上昇によって、排水能力を上回る水が流れ込んだ可能性があります。

市が水位上昇を把握できたのは119番通報の3分前。

通行止めの実施までには、その後さらに時間を要しました。

いわき市は当時のデータを精査し、専門的な知見も含めて事故原因を検証するとしています。

今後は、冠水を検知してから通行規制を始めるだけでなく、大雨の予測段階でアンダーパスへの進入を止める「事前規制」をどこまで実施できるのかも重要な焦点になりそうです。

この記事のポイント

  • 2026年9月7日、いわき市鹿島町米田のアンダーパスで車2台が水没し、60代女性が死亡
  • 市の説明では、水位上昇を確認できたのは119番通報の3分前
  • ポンプは稼働していたものの、短時間の雨水流入に排水が追いつかなかった可能性
  • 大雨による死亡では「災害弔慰金」が最大500万円となる制度があるが、今回の災害への適用は現時点で未確認
  • いわき市には住宅被害への「被災救助費」もある
  • 水没車では福島県の「自動車税減免」の対象になる場合がある
  • 通勤など生活に必要な車は「雑損控除」の対象になる可能性もある
  • 車両被害について、いわき市の「被災証明願」を利用できる

よくある質問

Q:今回亡くなった女性の遺族には500万円が支給されるのですか?

現時点では断定できません。いわき市の災害弔慰金は、生計維持者が死亡した場合500万円、それ以外は250万円ですが、対象となる自然災害には規模要件があります。今回の大雨について対象災害に該当するとの正式発表は、2026年9月8日時点で確認できません。

Q:大雨で車が水没した場合、給付金はありますか?

車そのものに一律の現金給付があるわけではありません。ただし福島県では、一定以上の修理費が生じた被災車について自動車税の減免制度があります。また、生活に通常必要な車なら所得税の雑損控除を利用できる場合があります。

Q:水没した車の被害証明は取れますか?

いわき市では、車両は「り災証明書」ではなく「被災証明願」の対象です。被害状況が分かる写真などを用意して申請します。

Q:家が床上浸水した場合、いわき市から支援はありますか?

市の一般的な被災救助費制度では、床上浸水の場合に1世帯3万円、半壊の場合に1世帯5万円+被災者1人につき1万円などの支給制度があります。実際の災害への適用と被害認定については市への確認が必要です。