
「お金に困っていた」――。元プロ野球選手をめぐり、金銭的な困窮が動機とみられる事件が報じられました。
捜査関係者への取材をもとにした報道によると、詐欺の疑いで逮捕されたのは、プロ野球・広島カープに在籍していた多田大輔容疑者(30)です。
2026年6月、東京・墨田区の個室ビデオ店で他人名義のクレジットカードを使用し、料金3,500円を不正に支払った疑いが持たれています。
カードは駅前で寝込んでいた男性の財布から抜き取ったものとみられ、報道では、多田容疑者は容疑を認めたうえで「お金に困っていた」と供述しているとされています。
元広島カープ選手に何があった?
多田容疑者は2015年から2017年にかけて広島カープに在籍し、退団後は社会人野球などでも活動していたと報じられています。
今回問題となったのは、他人名義のクレジットカードによる3,500円の支払いです。
金額だけを見ると3,500円ですが、他人のクレジットカードを本人の許可なく使用する行為は、単なる「借金」や「立て替え」とはまったく異なります。
生活に困っている場合でも、他人のお金やカードを使うのではなく、まず公的な相談窓口や給付・貸付制度につながることが重要です。
「お金に困った」その時に使える制度は意外と多い
収入が途絶えたり、仕事を失ったりすると、家賃、食費、光熱費、スマートフォン代など毎月の支払いは待ってくれません。
一方、日本には、失業や収入減少などに直面した人向けに複数のセーフティーネットがあります。
重要なのは、完全にお金がなくなってから探すのではなく、「来月の支払いが危ない」と感じた段階で相談することです。
①仕事を失ったら「雇用保険の基本手当(失業給付)」
会社員などとして雇用保険に加入していた人が離職した場合、まず確認したいのが雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付です。
失業中の生活を支えながら再就職活動を行えるよう、離職前の賃金などを基に算出した基本手当が支給されます。
支給額や給付日数は、
- 離職前の賃金
- 年齢
- 雇用保険の加入期間
- 自己都合退職か会社都合退職か
などによって異なります。
「退職したら全員同じ金額がもらえる」制度ではありませんが、雇用保険に加入して働いていた人にとって最初に確認すべき制度の一つです。
どこで手続きする?
原則として住所地を管轄するハローワークで求職申込みを行い、離職票などを提出して受給資格の確認を受けます。
②雇用保険がもらえなくても「月10万円」|求職者支援制度
「雇用保険に入っていなかった」「自営業だった」「失業給付をすでに受け終わった」という人にも制度があります。
厚生労働省の求職者支援制度では、再就職・転職・スキルアップを目指す人が無料の職業訓練を受けることができます。
さらに所得や資産など一定の条件を満たす場合には、訓練期間中に職業訓練受講給付金を受けられます。
支給される主なお金
- 職業訓練受講手当:月10万円
- 通所手当:月上限42,500円
- 寄宿手当:月10,700円(一定条件あり)
対象となる職業訓練には、IT、Web、事務、介護、医療事務など多数のコースがあります。
主な対象者
- 雇用保険の適用がなかった離職者
- 雇用保険の受給が終了した人
- フリーランス・自営業を廃業した人
- 一定額以下の収入で働きながら転職を目指す人
③家賃が払えないなら「住居確保給付金」
収入がなくなったとき、特に大きな負担になりやすいのが家賃です。
住居確保給付金は、離職や収入減少などによって住居を失った人、または住居を失うおそれが高い人に、一定期間の家賃相当額を支給する制度です。
一定の収入・資産要件などを満たすことや、就職に向けた活動などが条件となります。
2025年4月からは制度が拡充され、家計改善のために家賃の安い住宅へ転居する必要がある人について、一定の転居費用も支援対象となっています。
こんな人は早めに相談
- 離職して来月の家賃が払えない
- 仕事が減って収入が大幅に落ちた
- 家賃を滞納しそうになっている
- 現在の住宅費では生活を立て直せない
相談先は、自治体の自立相談支援機関などです。
④今日・明日の生活費にも困るなら「生活福祉資金」
給付ではありませんが、緊急時に知っておきたいのが生活福祉資金貸付制度です。
低所得世帯などを対象として、生活再建のために必要な資金を貸し付ける制度で、都道府県社会福祉協議会を実施主体として運営されています。
例えば緊急小口資金は、緊急かつ一時的に生活の維持が難しくなった場合に、原則10万円以内の資金を無利子で借りられる仕組みです。
家計そのものを立て直す「生活困窮者自立支援制度」
「どの制度を使えばいいのか分からない」という場合は、生活困窮者自立支援制度の相談窓口を利用できます。
ここでは単にお金を支給するだけでなく、
- 仕事探し
- 住居確保
- 家計の改善
- 債務や支払いの整理
- 就労に向けた準備
などを組み合わせて、生活を立て直すための支援プランを作成してもらえます。
家計が破綻する前の段階でも相談できます。
「お金に困ってから」では遅い?相談する目安
公的支援は、所持金が0円にならなければ相談できないわけではありません。
例えば、
- 来月の家賃を払える見込みがない
- クレジットカードの返済を別の借金で賄っている
- 食費を削っても生活費が足りない
- 仕事を失い、再就職の見通しが立っていない
- 公共料金の滞納が始まっている
といった段階は、すでに相談を検討してよいタイミングです。
困ったとき「最初にどこへ行けばいい?」
| 困っている内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 仕事を失った | ハローワーク |
| 雇用保険を受けられない・職業訓練を受けたい | ハローワーク |
| 家賃が払えない | 自治体の自立相談支援機関 |
| 緊急の生活費が必要 | 市区町村・都道府県社会福祉協議会 |
| 借金や家計管理も含めて相談したい | 自立相談支援機関・家計改善支援 |
| 最低限の生活そのものが維持できない | 自治体の福祉事務所 |
この記事のポイント
- 元広島カープ選手の30歳男が他人名義のクレジットカードを使用した詐欺容疑で逮捕されたと報道
- 報道では「お金に困っていた」と供述しているとされる
- 逮捕は有罪確定を意味しない
- 離職時にはまず雇用保険の基本手当を確認
- 雇用保険を受けられない人でも求職者支援制度で月10万円を受給できる場合がある
- 家賃が難しい場合は住居確保給付金を確認
- 緊急小口資金は最大10万円だが「給付」ではなく貸付
- 完全に資金が尽きる前に相談することが重要
よくある質問
Q:お金に困っていれば月10万円がもらえますか?
いいえ。月10万円の職業訓練受講給付金には、求職申込み、職業訓練の受講、所得・資産などの条件があります。
Q:無職になれば失業給付を必ずもらえますか?
必ずではありません。雇用保険の加入状況、被保険者期間、離職理由などによって受給資格が決まります。
Q:家賃を滞納してからでないと住居確保給付金を申請できませんか?
住居を失うおそれが高い段階でも対象となる場合があります。滞納する前に自立相談支援機関へ相談するのがおすすめです。
Q:緊急小口資金10万円は返さなくてもいいですか?
原則として返済が必要な貸付制度です。給付金ではありません。
Q:どの制度に該当するか分かりません。
自治体の自立相談支援機関に相談すると、収入、仕事、住居、家計状況などから利用可能な制度を一緒に整理してもらえます。
公式・参考情報
- TBS NEWS DIG:元広島カープ選手の逮捕に関する2026年9月7日報道
- 厚生労働省:求職者支援制度のご案内
- 厚生労働省:雇用保険制度・基本手当
- 厚生労働省:生活困窮者自立支援制度
- 厚生労働省:住居確保給付金
- 厚生労働省:生活福祉資金貸付制度




