
高市内閣が進める食料品の消費税率引下げについて、政策そのものには賛成する人が過半数となる一方、「物価高対策としては効果がない」と考える人も過半数――。
2026年9月5日・6日に行われた最新のJNN世論調査で、こうした興味深い結果が明らかになりました。
高市内閣を「支持できる」と答えた人は62.5%で、8月調査から3.3ポイント上昇。一方、政府が2027年4月から予定している食料品の消費税率1%への引下げについて、物価高対策として「効果がない」と回答した人は55%となりました。
ただし、高市政権の物価高対策は「食料品の税率を1%にする」だけではありません。政府は同時に、所得に応じて現金等を支援する「所得に連動したきめ細かな給付」を導入し、将来的には「給付付き税額控除」に発展させる方針を示しています。
最新JNN世論調査|高市内閣の支持率は62.5%
JNNが2026年9月5日・6日に実施した世論調査では、高市内閣について「支持できる」62.5%、「支持できない」34.9%となりました。
前月比では「支持できる」が3.3ポイント上昇、「支持できない」が2.7ポイント低下しています。
| 質問項目 | 回答 |
|---|---|
| 高市内閣を支持できる | 62.5% |
| 高市内閣を支持できない | 34.9% |
| これまでの物価高対策を評価する | 40% |
| これまでの物価高対策を評価しない | 57% |
| 食料品の消費税1%に賛成 | 51% |
| 食料品の消費税1%に反対 | 42% |
| 消費税減税は物価高対策として効果がある | 43% |
| 消費税減税は物価高対策として効果がない | 55% |
| 食料品1%・外食10%なら外食を控えようと思う | 38% |
| 外食を控えようと思わない | 56% |
| 2年後に食料品の税率を8%へ戻すことに賛成 | 37% |
| 2年後に8%へ戻すことに反対 | 53% |
「減税には賛成」なのに「効果なし」が多いのは矛盾?
今回の調査で注目したいのが、食料品の消費税率1%への引下げについて「賛成」51%と過半数を占めているのに対し、物価高対策として「効果がない」55%となっている点です。
これは必ずしも矛盾ではありません。
「減税自体には賛成だが、現在の物価高全体を解決するには十分ではない」と考えている人が存在する可能性があります。
ただし、JNN調査は「なぜ効果がないと思うのか」まで今回の数字から直接説明しているわけではありません。そのため、55%という数字だけから国民の具体的な理由まで断定するのは適切ではありません。
高市内閣が予定する「食料品減税」の詳細
政府は2026年8月5日、飲食料品の消費税率引下げと給付付き税額控除の導入に向けた基本方針を閣議決定しました。
2027年4月1日から食料品の消費税率を1%へ
現在、軽減税率の対象となる飲食料品には原則8%の消費税率が適用されています。
政府方針では、2027年4月1日から2年間、対象となる飲食料品の消費税率を1%に引き下げるとしています。
「8%から7%にする」のではなく、税率そのものを1%にする点が重要です。現在の8%からは7ポイントの引下げとなります。
期間は原則2年間
1%への税率引下げは恒久措置ではなく、2027年度と2028年度の2年間の「つなぎ」として位置付けられています。
高市総理は、その後は税率を元に戻し、2029年度から所得に応じた給付制度を本格導入する考えを示しています。
食料品の税率を1%にするだけではない|さらに現金給付を予定
今回の政策で特に分かりにくいのが、消費税1%への引下げと「所得に連動したきめ細かな給付」を組み合わせる点です。
政府の基本方針では、2027年度に、飲食料品にかかる消費税1%相当分の範囲内で所得連動型の給付を先行導入するとしています。
つまり政府は、
- 食料品の税率を8%から1%へ引き下げる
- 残る1%相当について所得に応じた給付を行う
- 全体として食料品にかかる消費税負担の「実質ゼロ化」を目指す
という二段構えを想定しています。
現金給付はいくらもらえる?
2026年9月7日時点で、「1人○万円」といった一律の具体的給付額は正式決定していません。
これは今回の制度が、過去に行われた「全国民に一律10万円」のような定額給付とは制度設計が異なるためです。
政府は「所得に連動したきめ細かな給付」としており、収入・所得の水準などに応じて支援額を変える方向です。
「全員同じ金額」ではない
制度の中心として想定されているのは、中所得・低所得の現役勤労者です。
所得が低いほど単純に無条件で多額の給付を受け取れる制度と決まったわけでもなく、一定の勤労所得や税・社会保険料負担などを考慮する方向で制度設計が進められています。
誰が現金給付の対象になる?
政府資料では、主に中所得・低所得の現役勤労者に着目しています。
また、就労インセンティブを高め、「年収の壁」による働き控えを緩和することも制度の目的とされています。
制度設計上は個人単位とする方向が示されており、単身者も対象から排除しない考えです。
住民税非課税世帯なら全員対象とは限らない
従来の物価高給付では、「住民税非課税世帯」を基準とする給付金が数多く実施されてきました。
しかし今回の所得連動給付は、単純に「住民税非課税世帯なら一律給付」という制度ではありません。
所得と勤労状況、税・社会保険料負担などを組み合わせて、支援対象や支援額を設定する方向で検討されています。
働いていない高齢者や低所得者は対象外になる?
政府は、所得連動給付だけではすべての生活困窮者をカバーできないことも認識しています。
高市総理は、所得連動給付の対象外となる可能性がある人として、
- 勤労意欲があるものの給付対象にならない低所得者
- 就労していない高齢者
などへの対応について、既存の社会保障制度や年金制度との関係を含めて検討する方針を示しています。
したがって、「働いていない人は今後一切支援されない」と決まったわけではありません。
いつから現金給付が始まる?
政府基本方針では、所得連動給付について2027年度から先行導入し、2029年度から本格導入する方向が示されています。
| 時期 | 予定されている施策 |
|---|---|
| 2026年9月時点 | 制度設計中/申請不可 |
| 2027年4月1日 | 軽減税率対象の飲食料品を8%から1%へ |
| 2027年度 | 所得連動型給付を先行導入予定 |
| 2028年度 | 食料品1%の経過措置を継続予定 |
| 2029年度 | 「所得に連動したきめ細かな給付」を本格導入予定 |
今から給付金を申請できる?
できません。
2026年9月7日時点では、この所得連動給付について個人向けの申請受付は開始されていません。
具体的な所得基準、給付額、必要書類、申請方式、申請不要の自動給付となる範囲なども、今後の制度設計で決まる部分が残されています。
政府と地方自治体は、給付実務についての役割分担や事務負担をどう減らすかについて協議を進めています。
2029年度から「給付付き税額控除」へ
高市内閣が改革の中心に位置付けているのが、給付付き税額控除です。
一般的な税額控除では、納める税金が少ない人ほど控除を使い切れない場合があります。
給付付き税額控除は、所得に応じて税負担を軽減するとともに、控除しきれない層などへ給付を組み合わせることで、中低所得層の手取りを増やすことを目指す仕組みです。
日本政府が現在検討している制度では、単なる税制上の控除だけでなく、所得に応じた継続的な給付を行い、税・社会保険料負担を含めた手取り改善につなげることが大きな目的とされています。
なぜ政府は一律給付ではなく「所得連動」にするのか
一律給付は仕組みが比較的分かりやすい一方、高所得者にも同じ金額が支給されます。
所得連動型では、所得情報を活用することで、より負担の重い中低所得者へ重点的に支援を配分できます。
政府はさらに、「年収の壁」などを理由として就労時間を抑える行動を緩和し、働いた分だけ手取りが増えやすい制度にすることも目指しています。
食料品減税の財源はどうする?
消費税は社会保障を支える重要な財源でもあるため、税率引下げによって生じる財源不足をどう補うかも大きな論点です。
高市総理は、給付や「つなぎ」の財源について、特例公債に依存せず、
- 歳出・歳入両面の見直し
- 租税特別措置の見直し
- 補助金の見直し
- 特別会計や基金などからの歳入確保
- 税外収入の活用
などを進める考えを示しています。
一方で、具体的な恒久財源や最終的な制度コストについては、今後の予算編成や制度設計を確認する必要があります。
JNN調査では「2年後に8%へ戻す」に反対53%
政策のもう一つの課題が、2年間の減税終了後です。
今回のJNN調査では、2年後に食料品の消費税率を再び8%へ戻すことについて、賛成37%、反対53%でした。
つまり、「1%への減税を始めること」以上に、いったん下げた税率を元に戻す段階で政治的な議論が大きくなる可能性があります。
政府は2029年度に所得連動給付を本格導入し、中低所得の現役勤労者の多くについて、食料品減税によるメリットを上回る支援を行う考えを示しています。
内閣支持率62.5%でも物価高対策の評価は厳しい
今回の調査で特徴的なのは、内閣支持率と物価高対策への評価が大きく異なることです。
高市内閣の支持率は62.5%と高水準ですが、これまでの物価高対策を「評価しない」と回答した人は57%でした。
したがって、「内閣を支持している人=現在の物価高対策を全面的に評価している人」とは限りません。
今後、食料品の消費税率1%と所得連動給付が具体的な家計負担軽減につながるのか、そして制度の分かりやすさや財源への納得感を得られるのかが重要になりそうです。
JNN世論調査の調査方法
今回のJNN調査は2026年9月5日・6日に、全国18歳以上の男女を対象として実施されました。
固定電話と携帯電話へ無作為に電話をかけるRDD方式を採用し、対象となった2,826人のうち1,036人から有効回答を得ています。有効回答率は36.7%です。
インターネット上のアンケートやSNS投票とは調査方法が異なる点にも注意が必要です。
この記事のポイント
- 高市内閣の最新JNN支持率は62.5%
- 食料品の消費税1%には賛成51%、反対42%
- 物価高対策として「効果がない」は55%
- 2027年4月から2年間、軽減税率対象の食料品を8%から1%へ引下げる政府方針
- 2027年度には所得連動型の給付を先行導入予定
- 減税+給付により食料品の消費税負担を「実質ゼロ化」する考え
- 具体的な一律給付額は現時点で決まっていない
- 2029年度から所得連動給付を本格導入する方針
- 現在は申請受付前
よくある質問
Q:2027年から食料品の消費税はゼロになりますか?
税率そのものは、政府方針では2027年4月1日から1%です。さらに所得連動型の給付を組み合わせ、全体として「実質ゼロ化」を目指す考えです。
Q:食料品の消費税は8%から7%になるのですか?
いいえ。政府方針では税率を8%から1%に引き下げます。7ポイントの引下げです。
Q:全国民に現金給付がありますか?
全国民へ同額を一律給付する制度が正式決定したわけではありません。中所得・低所得の現役勤労者などを中心として、所得に応じた給付を行う方向で制度設計が進められています。
Q:住民税非課税世帯はいくらもらえますか?
2026年9月7日時点では、住民税非課税世帯向けの具体的な一律給付額は今回の制度として確定していません。
Q:給付金はいつ申請できますか?
現在は申請できません。2027年度の先行導入に向けて制度設計が進められている段階です。
Q:2029年には食料品の消費税が8%へ戻りますか?
政府は2年間のつなぎ措置終了後に税率を元に戻し、2029年度から所得連動給付を本格導入する方針を示しています。ただし、今後の法案審議や制度改正の動向を確認する必要があります。
Q:「効果なし55%」なら国民の55%が減税に反対しているのですか?
違います。同じJNN調査で、食料品の消費税1%への引下げ自体には51%が賛成しています。「政策への賛否」と「物価高対策として十分な効果があると思うか」は別の質問です。
公式・参考情報
- 内閣官房:「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」政府基本方針
- 首相官邸:2026年7月30日 高市内閣総理大臣記者会見
- 首相官邸:2026年8月5日 「給付付き税額控除」の制度導入の基本方針についての会見
- 内閣官房:社会保障国民会議
- JNN/TBS NEWS DIG:2026年9月世論調査




