旧ジャニーズ事務所をめぐる性加害問題で、新たな証言が明らかになりました。

2026年9月7日、旧ジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)で勤務していたという50代の男性が朝日新聞の取材に応じ、約30年前にジャニーズJr.約8人に対して、自身も性的な加害行為をしたと証言しました。

男性はJr.のスケジュール管理や送迎などを担当していたといい、行為があったとする時期は1995年ごろから2000年ごろ。対象となった人の多くは当時高校生だったと説明しています。

旧ジャニーズ事務所が創業者・故ジャニー喜多川氏による性加害を正式に認めてから、2026年9月7日で3年。今回の証言は、問題が創業者個人だけにとどまるものだったのかを改めて問いかける内容となっています。

重要:今回の内容は元スタッフ本人が報道機関の取材で述べた証言に基づきます。SMILE-UP.は、この男性が同社の確認している加害スタッフ本人かどうかについて回答を控えています。本記事は刑事責任の有無などを独自に認定するものではありません。

旧ジャニーズ元スタッフ「Jr.8人ほどに性加害」と証言

報道によると、男性は旧ジャニーズ事務所でジャニーズJr.のスケジュール管理、送迎などを担当していました。

男性自身の説明では、1995年ごろから2000年ごろにかけて、Jr.約8人との間で性的な行為があったとしています。

多くは当時高校生で、一部には数千円を渡したとも説明しています。

男性は当時について、性的な行為をコミュニケーションの一つのようにとらえていた一方、「嫌な思いをさせているのではないか」との認識もあったと述べ、現在は自らの行為について「性加害になると思う」と証言しています。

2023年の調査報告書でも「スタッフによる性加害」を指摘

旧ジャニーズ事務所が設置した外部専門家による再発防止特別チームは、2023年8月に公表した調査報告書で、創業者だけでなく、事務所スタッフによる性加害があったとの情報についても言及していました。

報道では、今回取材に応じた男性について、SMILE-UP.が過去に確認したスタッフ2人のうち1人とみられるとする関係者の話も伝えられています。

ただしSMILE-UP.は、今回の男性がその本人なのかという問い合わせについて、回答を控えています。

一方、同社はスタッフによる性加害について、複数の被害申告が寄せられていることを明らかにしています。

性被害は「昔のこと」でも心身への影響が続くことがある

性犯罪・性暴力は、身体的な被害だけではありません。

被害後、長期間が経過してから、

  • PTSD
  • 不安や恐怖
  • 不眠
  • うつ症状
  • 仕事や学校へ行けない
  • 人間関係を築くことが難しくなる

などの影響が現れる場合があります。

内閣府も、同意のない性的行為は性暴力であり、年齢や性別に関係なく起こり得るとしています。

被害者が男性であっても、公的な性犯罪・性暴力被害者支援を利用できます。

性被害を受けた人に「給付金」はある?

条件を満たせば利用できる可能性があります。

代表的なのが、警察庁の犯罪被害給付制度です。

故意の犯罪行為によって死亡した人の遺族や、重大な負傷・疾病、障害が残った犯罪被害者に対して、国が犯罪被害者等給付金を支給する制度です。

大きく、

  • 遺族給付金
  • 重傷病給付金
  • 障害給付金

があります。

性犯罪の被害でも、要件を満たす傷病や精神疾患が生じている場合には対象になる可能性があります。

PTSDなどでも対象になり得る「重傷病給付金」

性犯罪・性暴力との関係で特に知っておきたいのが重傷病給付金です。

身体的なけがの場合、原則として、

  • 加療1か月以上
  • 3日以上の入院

を要する重傷病が対象となります。

一方、PTSDなどの精神疾患については入院要件がありません。

原則として、

  • 加療1か月以上
  • 症状により3日以上仕事ができない程度

という条件を満たす場合、重傷病として認められる可能性があります。

性被害による精神的な傷も対象になり得ます:「目に見えるけががないから犯罪被害給付の対象外」とは限りません。PTSDなど一定の精神疾患も制度上対象となり得ます。

重傷病給付金はいくら?「最大120万円」

重傷病給付金は、単純に全員へ120万円を振り込む制度ではありません。

基本的には、犯罪によって生じた傷病について、

  • 保険診療による医療費の自己負担相当額
  • 休業による収入減を考慮した休業加算額

を合計して算定します。

支給額の上限は120万円です。

項目 概要
対象 故意の犯罪で一定の重傷病を負った人
身体の傷病 原則、加療1か月以上+入院3日以上
PTSD等の精神疾患 加療1か月以上+3日以上労務不能
給付内容 医療費自己負担額+一定の休業加算
上限 120万円
注意:性被害を受けた人全員に120万円が一律支給される制度ではありません。犯罪との因果関係、傷病の程度、他の給付・損害賠償の状況などを踏まえて都道府県公安委員会が裁定します。

申請期限にも注意

重傷病給付金には申請期限があります。

警察庁の現行案内では原則として、

  • 犯罪被害による重傷病を負ったことを知った日から2年
  • 重傷病を負った日から7年

を経過すると申請できません。

ただし、加害者によって身体の自由を拘束されていたなど、やむを得ない理由で期限内に申請できなかった場合には特例があります。

今回報道された1990年代の被害に、この現行制度をそのまま利用できるという意味ではありません。個々の被害時期や事情については、警察や弁護士などへの確認が必要です。

医療費を「公費」で負担してもらえる制度も

性犯罪の被害では、給付金とは別に、警察による医療費等の公費負担制度があります。

都道府県警察によって細かな運用は異なりますが、性犯罪被害者について、

  • 緊急避妊に必要な費用
  • 初診料
  • 診断書料
  • 性感染症などの検査費用
  • 人工妊娠中絶費用

などを公費で負担する制度が運用されています。

さらに、犯罪被害による心理的な影響について、カウンセリング費用の公費負担を行う制度もあります。

「病院へ行くお金がない」場合も相談してよい

性被害の直後は、

「診察代がいくらかかるのか分からない」

「警察に行くかまだ決められない」

「家族には知られたくない」

など、さまざまな理由で医療機関への受診をためらうことがあります。

そのような場合に利用できるのが、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターです。

全国共通「#8891」|性犯罪・性暴力ワンストップ支援

内閣府が案内している全国共通番号は、

#8891(はやくワンストップ)

です。

最寄りの性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにつながります。

センターでは、一人ひとりの状況に応じて、

  • 相談
  • 産婦人科など医療機関との連携
  • 心理的支援・カウンセリング
  • 警察への相談・同行支援
  • 弁護士等と連携した法律支援

などを受けることができます。

全国共通番号からの相談は通話料無料です。

男性も利用できます:性犯罪・性暴力の被害者支援は女性だけを対象とした制度ではありません。性別や年齢を問わず相談できます。

警察へ直接相談するなら「#8103」

警察には性犯罪被害相談電話の全国共通番号もあります。

#8103(ハートさん)

へ電話すると、発信地域を管轄する都道府県警察の性犯罪被害相談窓口につながります。

被害届を提出するか決めていない段階でも相談できます。

医療機関の紹介や公費負担制度について案内を受けられる場合もあります。

2026年から「性犯罪の被害者は弁護士費用0円」の新制度も

2026年1月13日から、法テラスで新しい犯罪被害者等支援弁護士制度が始まりました。

一定の性犯罪などの被害者が条件を満たす場合、原則として法テラスの費用負担で弁護士による支援を受けられます。

利用できる支援には、

  • 無料法律相談
  • 警察・検察など捜査機関への同行
  • 刑事裁判への付き添い
  • 加害者への損害賠償請求
  • 示談交渉
  • 犯罪被害者等給付金の申請

などがあります。

法律相談は同じ事件で3回まで無料

対象となる人は、同じ案件について3回まで無料法律相談を受けることができます。

代理援助が必要な場合には、犯罪被害者支援に精通した弁護士が手続きをサポートします。

資産要件は原則300万円以下

制度には資力要件があり、原則として申込者と配偶者の、

  • 現金
  • 預貯金
  • 有価証券等

の合計が300万円以下であることなどが条件です。

犯罪被害が原因で今後1年以内に支出すると見込まれる一定の治療費などは、資力から控除できる場合があります。

今回報道された過去の被害への注意:この法テラスの新制度は、原則として2026年1月13日以降に発生した対象犯罪の被害者が対象です。1990年代などに発生した旧ジャニーズ事務所をめぐる今回の報道上の被害に、そのまま適用できる制度ではありません。

性被害者が確認したい公的支援を一覧で整理

支援 内容 主な条件・注意点
犯罪被害者等給付金 重大な犯罪被害への金銭給付 傷病・障害等の要件あり
重傷病給付金 最大120万円 PTSDなど精神疾患も一定条件で対象
性犯罪被害者への公費負担 初診・検査・緊急避妊・カウンセリング等 都道府県等で詳細が異なる
ワンストップ支援センター 医療・心理・法律等を連携支援 #8891
警察の性犯罪相談 警察への相談・医療支援案内等 #8103
犯罪被害者等支援弁護士制度 法律相談・同行・賠償請求等 2026年1月13日以降の対象犯罪等

「被害届を出していない=相談できない」ではない

性暴力を受けた人の中には、すぐに警察へ届け出ることができない人もいます。

特に、

  • 加害者との力関係が大きい
  • 仕事や将来への影響が怖い
  • 未成年だった
  • 自分が悪かったのではないかと考えてしまう
  • 被害について言葉にすること自体が難しい

といった事情がある場合、被害を誰かに話すまで長い時間がかかることがあります。

ワンストップ支援センターでは、警察へ届け出るかどうかをまだ決められない段階でも相談できます。

まず相談して、どのような選択肢があるのかを知ったうえで、今後の対応を考えることができます。

今回の証言で改めて問われる「組織としての再発防止」

今回の元スタッフの証言が示す重要な論点は、性加害を「一人の加害者だけの問題」として扱ってよいのかということです。

芸能事務所や学校、スポーツ団体、企業などでは、大人と未成年者、指導者と被指導者、上司と部下などの間に大きな力関係があります。

本人が拒否しなかったことだけをもって、本当の同意があったと判断することはできません。

内閣府も、相手と対等な関係ではなく、断ることが難しい状況で行われた性的行為について、明確な拒否がなかったことだけで同意があったことにはならないと説明しています。

被害を防ぐには、相談窓口を設けるだけでなく、

  • 未成年者とスタッフを密室で二人きりにしない
  • 第三者が相談を受けられる仕組みを設ける
  • 通報した人が不利益を受けない制度を作る
  • 加害の兆候を組織内で共有する
  • 管理職やスタッフへの継続的な研修を行う

といった組織的な対策も重要になります。

この記事のポイント

  • 旧ジャニーズ事務所の元スタッフの50代男性が自身の性加害を朝日新聞の取材で証言
  • 本人の説明では1995~2000年ごろ、Jr.約8人に性的な行為をしたとしている
  • 被害対象の多くは当時高校生だったと証言
  • SMILE-UP.は、この男性が同社確認の加害スタッフ本人かについて回答を控えている
  • 2023年の再発防止特別チームもスタッフによる性加害について指摘していた
  • 性犯罪被害では犯罪被害者等給付金を受けられる場合がある
  • PTSD等でも加療1か月以上+3日以上労務不能なら重傷病給付金の対象になり得る
  • 重傷病給付金は医療費自己負担額などを基に最大120万円
  • 緊急避妊・初診料・性感染症検査・カウンセリング等の公費負担制度もある
  • 性犯罪・性暴力ワンストップ支援センターは#8891
  • 警察の性犯罪被害相談は#8103
  • 2026年から一定の性犯罪被害者に無料の弁護士支援制度も開始

よくある質問

Q:元スタッフの性加害は事実として確定したのですか?

本人が報道機関の取材に対して自身の行為を性加害だと証言しています。一方、SMILE-UP.は、この男性が同社が確認している加害スタッフ本人かについて回答を控えています。刑事裁判による認定とは別です。

Q:性被害を受けたら全員120万円もらえますか?

いいえ。120万円は重傷病給付金の上限です。一定の傷病要件を満たすことや、実際の医療費・休業状況などに基づく審査があります。

Q:PTSDでも犯罪被害給付金を申請できますか?

一定の条件を満たせば対象となる可能性があります。精神疾患の場合、原則として加療1か月以上で、症状が3日以上仕事に就けない程度であることなどが要件です。

Q:警察に被害届を出す前でも#8891へ相談できますか?

はい。警察へ相談するか決めていない段階でも、ワンストップ支援センターへ相談できます。

Q:男性でも#8891を利用できますか?

利用できます。性犯罪・性暴力は性別を問わず起こるもので、支援センターも男性を含む被害者を対象としています。

Q:診察やカウンセリング代も支援されますか?

警察やワンストップ支援センターを通じ、初診料、検査費、緊急避妊費用、カウンセリング費用などが公費負担・助成の対象になる場合があります。具体的な内容は地域や状況により異なります。

Q:昔の性被害でも2026年開始の無料弁護士制度を使えますか?

新しい犯罪被害者等支援弁護士制度は原則として2026年1月13日以降に発生した対象犯罪が対象です。過去の被害については、法テラスや弁護士に利用できる別の相談・援助制度がないか確認してください。

公式・参考情報

  • 朝日新聞:旧ジャニーズ事務所元スタッフの性加害証言に関する2026年9月7日報道
  • SMILE-UP.:性加害問題に関する被害救済・再発防止対応
  • 旧ジャニーズ事務所 外部専門家による再発防止特別チーム:調査報告書
  • 警察庁:犯罪被害給付制度
  • 警察庁:性犯罪被害者に対する公費負担制度
  • 内閣府男女共同参画局:性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
  • 法テラス:犯罪被害者等法律援助(犯罪被害者等支援弁護士制度)