
全国各地で、見知らぬ外国人女性から日本国旗を差し出され、「寄付」を名目に金銭を求められるケースが確認されています。
2026年9月9日のテレビ朝日の報道によると、札幌市・すすきのでバーを営む男性の店には、日本国旗を持った女性が来店。
女性は酒を注文するわけでもなく、店主に紙を差し出したといいます。
そこには、自身について耳が聞こえず話すこともできないと説明したうえで、日本文化を学ぶために来日しており、活動継続には寄付が必要だとして、500円を寄付すれば日本国旗を渡すという趣旨の文章が書かれていました。
店主は一度支払いを断ったものの、女性がなかなか帰らない雰囲気だったため、営業への影響を考えて500円を支払ったと証言しています。
近隣のバーでも同じようなケース
すすきのでは、別のバーにも同じような女性が訪れていたと報じられています。
その店では、A4用紙の半分ほどの大きさの日本国旗を突然差し出され、その後、紙で500円程度の支払いを求められたといいます。
店主は断って退店してもらいましたが、周辺の飲食店に聞いたところ、同様の訪問を受けた店舗が複数あったということです。
さらにテレビ朝日は、こうした外国人による国旗販売が札幌だけではなく、全国各地で目撃されていると報じています。
ただし、ここは慎重に見る必要があります。
「組織的犯罪」と決まったわけではない
現時点では、
全国規模の同一組織が指示している
特定の国籍の人々による犯罪グループである
などと確認されたわけではありません。
テレビ朝日の取材に答えた元警視庁公安部の松丸俊彦氏も、現時点で得ている情報からは「組織性は感じない」とし、各地で個人的な小遣い稼ぎや旅費目的で行われている可能性があるとの見方を示しています。
したがって今回のニュースを、
「外国人による組織的詐欺」
と断定するのは適切ではありません。
問題にすべきなのは国籍ではなく、
断った相手に金銭を要求し続ける
店舗から退去しない
営業に支障が出る状態を作る
といった行為です。
「500円くらいなら払って帰ってもらおう」が危ない?
今回、店主が実際に支払った金額は500円でした。
「それくらいなら払って終わらせたい」と考える人もいるでしょう。
しかし松丸氏は、一度「ここはお金を払う店」と認識されると再び訪問される可能性もあるため、最初から取り合わず、明確に帰ってほしいと伝えることが重要だとしています。
あまりにしつこい場合には、110番通報でもよいとの見解を示しています。
特に飲食店の場合、他の客がいる時間帯に長時間居座られると、
- 接客が止まる
- 他の客が不安を感じる
- 営業妨害につながる
- 酒を飲んだ客が勢いで支払ってしまう
といった問題も起こり得ます。
「寄付」と言われても、その場で払う必要はない
寄付は本来、自分の意思で行うものです。
消費者庁も、寄付や義援金について、団体の活動内容やお金の使途を確認し、納得したうえで寄付するよう注意喚起しています。
つまり、
「寄付を断るのは申し訳ない」
と考える必要はありません。
活動主体が分からない場合には、
「団体名は何か」
「公式サイトはあるのか」
「寄付金は何に使われるのか」
「領収書は発行されるのか」
などを確認し、その場で判断せず持ち帰るのも一つの方法です。
「帰ってください」と言ったのに帰らない寄付勧誘は?
消費者庁は、不当な寄付勧誘について、
退去するよう求めたにもかかわらず帰らない「不退去」
などを規制対象として案内しています。
ただし注意点があります。
「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」は、その名前の通り、基本的に法人や団体等による寄付勧誘を対象にした制度です。
今回報じられている女性たちについて、特定の法人・団体との関係や組織性は確認されていません。
そのため、
今回のケースが直ちにこの法律違反になる
と断定することはできません。
個人による販売行為なのか、寄付なのか、組織的な活動なのかによって法的評価は変わります。
困ったら「188」「#9110」、緊急なら110番
不審な寄付や販売を求められ、どう対応すればよいのか分からない場合には、公的な相談先があります。
消費者庁は、不審な寄付勧誘などについて、
消費者ホットライン「188」
への相談を案内しています。
また、警察への相談であれば、
警察相談専用電話「#9110」
があります。
一方、店から出ていかない、威圧的な言動がある、身の危険を感じるなど、緊急性がある場合には110番を検討してください。
今回の報道でも専門家は、しつこく退店しないケースでは110番通報でもよいとしています。
500円を払ったら「被害給付金」がもらえる?
ここから給付・公的支援について確認してみましょう。
結論からいうと、
「押し売りに500円払った人へ国から500円が返ってくる」といった給付金制度はありません。
また今回のケースについて、支払った金銭を国や自治体が補償する制度が創設されたという事実も、2026年9月9日時点では確認できません。
「詐欺に遭ったら国から全額補償される」という一般的な仕組みもありません。
被害に遭った場合は、まず消費生活センターや警察に相談し、個々の事情に応じて返金請求などを検討することになります。
一方、札幌の飲食店には「最大50万円」の補助金がある
今回、実際に事案が報じられた札幌市では、飲食店を対象にした別の公的支援制度が現在実施されています。
それが、
「令和8年度札幌市観光施設受入環境整備補助金」
です。
外国人を含む多様な観光客を受け入れやすくするため、飲食店などが行う環境整備費の一部を札幌市が補助します。
飲食店は最大50万円
対象となる飲食店は、
食品衛生法上の許可を受けて札幌市内で営業し、申請日時点で1年以上事業を営み、今後も営業継続の意思がある店舗など。
補助率は、
対象経費の2分の1
で、
飲食店については
上限50万円
です。
今回の500円の国旗販売被害を補償する制度ではありませんが、外国人観光客が増えるなかで、店舗側の「伝える環境」を整備するために利用できる補助金です。
多言語看板・翻訳・セルフオーダーなどが対象
札幌市が飲食店向けに示している対象経費には、
- 多言語看板
- 多言語音声翻訳システム
- 多言語対応セルフオーダーシステム
- 外国語表記のネイティブチェック・翻訳
- 多言語ホームページ
- 多言語パンフレット
- 多言語メニュー
- 多様な食習慣に対応するメニュー作成
- 一定条件を満たす店舗のキャッシュレス端末
- 一定条件を満たす店舗のトイレ洋式化
などがあります。
申請期間は、
2026年7月24日~12月21日
です。
予算額に達した場合は、その時点で募集が終了します。
「外国人客を拒否する」のではなく、迷惑行為を拒否する
今回のニュースで最も注意したいのがここです。
報道された女性が外国人だったからといって、
外国人客全体を警戒する
という話ではありません。
札幌市自身も外国人を含む多様な観光客を受け入れるため、飲食店へ最大50万円を補助する制度を実施しています。
通常の観光客と、不審な勧誘行為をする人は分けて考える必要があります。
店舗側として重要なのは、
「外国人だから入店を断る」のではなく、「店内での販売・勧誘行為は禁止する」「退店要請に従わない場合には警察へ相談する」といった行為ベースのルールを設けること
でしょう。
これなら、日本人・外国人を問わず同じ基準で運用できます。
飲食店が今からできる対策は?
今回のような事案に備えるなら、店舗で対応を決めておくことも有効です。
例えば、
- 店内営業や寄付勧誘を原則禁止する
- スタッフが勝手にお金を渡さない
- 「お帰りください」と明確に伝える
- 同じ人物が再訪した場合に備えて日時を記録する
- 防犯カメラの映像を必要に応じて保存する
- 周辺店舗と情報共有する
- 緊急時は110番、相談なら#9110を利用する
といった対応です。
札幌の報道例でも、周辺の飲食店同士で「うちにも来た」という情報共有が行われていました。
「日本国旗を売ったこと」そのものが問題ではない
今回の記事で、もう一つ混同してはいけない点があります。
日本国旗を販売することそのものや、寄付を募ること自体が直ちに違法になるわけではありません。
今回問題視されているのは、
店主が断っているにもかかわらず長く居座ったとされること
や、
営業中の飲食店に入って金銭を要求する行為が複数確認されていること
です。
日本国旗も、外国人という属性も、本質的な問題ではありません。
ニュースを見る際には「誰がやったか」だけでなく、**「具体的にどんな行為が行われたのか」**を分けて考える必要があります。
この記事のポイント
- 全国各地で外国人女性から日本国旗を差し出され、寄付名目で金銭を求められるケースが報道
- 札幌・すすきのでは500円を求められ、断った後もなかなか帰らなかったという店主の証言
- 周辺の複数の飲食店でも類似ケースが確認された
- 現時点で全国的な組織犯罪と確認されたわけではない
- 問題は国籍ではなく、断った後も金銭要求・居座りを続ける行為
- 不審な寄付なら消費者ホットライン「188」
- 警察への相談は「#9110」、緊急時は110番
- 今回の支払額を補填する「押し売り被害給付金」のような制度は確認されていない
- 札幌市では飲食店の外国人観光客受入環境整備を上限50万円補助
- 対象には多言語看板、翻訳、セルフオーダーシステムなどが含まれる
- 札幌市の2026年度申請期限は12月21日、予算上限到達時は早期終了
よくある質問
Q:500円を要求されたら払わなければいけませんか?
当然ながら寄付は任意です。活動主体や使途に納得できなければ支払う必要はありません。今回の報道で専門家も、まず取り合わずに帰ってもらうよう伝えることを勧めています。
Q:「帰ってください」と言っても帰らない場合は?
身の危険や営業への重大な支障がある場合には110番を検討してください。緊急ではない警察相談は#9110、消費生活上の相談は188があります。
Q:寄付を装った詐欺だったと確定したのですか?
現時点で、今回報じられたケース全体が詐欺事件として摘発・認定されたとの情報は確認できません。「押し売りか」と報じられている段階であり、背後の組織性についても確認されていません。
Q:500円払ったら国から補償されますか?
今回のような支払いを一律に国や自治体が払い戻す給付金制度は確認されていません。不審な勧誘で支払ってしまった場合は、188や警察へ相談してください。
Q:札幌の飲食店が受けられる補助金はいくらですか?
札幌市の「令和8年度札幌市観光施設受入環境整備補助金」では、対象となる市内飲食店について対象経費の2分の1、上限50万円を補助します。申請期限は2026年12月21日です。
Tweet



