
オーストリアでは、一定の通勤距離や公共交通機関の利用可能性に応じ、給与所得者の課税所得を減らすPendlerpauschaleと、税額そのものを減らすPendlereuroを利用できます。公共交通機関の利用が合理的でない「großes Pendlerpauschale」で片道60kmを超える場合、Pendlerpauschaleは年3,672ユーロです。
これはオーストリアで課税される就労者向けの通勤税制です。日本在住者が日本の通勤に使える制度ではありません。また、3,672ユーロが現金で支給される制度でもありません。
円換算は2026年8月27日時点の1ユーロ=185.701円で計算。3,672ユーロは約681,894円(約68.2万円)相当の「所得控除額」です。実際に減る税額は本人の課税所得・税率等で異なります。
制度概要
実施機関
Bundesministerium für Finanzen(BMF、オーストリア連邦財務省)。給与計算または従業員の税務精算で利用します。
対象地域
オーストリアの給与所得税制度。オーストリアでの勤務・課税関係と、住居から職場までの通勤条件が前提です。
対象者
住居から勤務先へ定期的に通勤する給与所得者で、距離や公共交通機関の利用可能性が所定条件に該当する人です。公共交通機関の利用が合理的な場合は「kleines Pendlerpauschale」、合理的でない場合は「großes Pendlerpauschale」が適用されます。
給付額・支援額
代表的な年額は、kleines Pendlerpauschaleで20~40kmが696ユーロ、40~60kmが1,356ユーロ、60km超が2,016ユーロ。großes Pendlerpauschaleでは2~20kmが372ユーロ、20~40kmが1,476ユーロ、40~60kmが2,568ユーロ、60km超が3,672ユーロです。
さらにPendlereuroはPendlerpauschale対象者へ適用される税額控除で、2026年から片道通勤距離1kmにつき年6ユーロとなりました。2025年までの2ユーロから3倍です。たとえば片道35kmなら年210ユーロのPendlereuroとなります。
申請方法
BMFのPendlerrechnerで住居・勤務先・勤務時間・月の通勤日数などを入力して判定し、出力されるL34EDVを勤務先へ提出して給与計算に反映してもらう方法があります。勤務先で反映されなかった場合は、従業員の年次税務精算(Arbeitnehmerveranlagung)で申告できます。
申請期間
単独の給付金公募のような「○月○日まで」の先着申請ではありません。勤務年中に雇用主へ申請するか、年次税務精算で控除を反映させます。具体的な税務申告期限は申告方法・年度によって確認が必要です。
支給・利用時期
雇用主が認定額を給与計算に反映する場合は毎月の源泉徴収税額に影響します。年次税務精算で申告する場合は、税務精算の結果として反映されます。
主な条件
- 住居と勤務先の距離・公共交通機関の利用可否が所定条件を満たすこと
- 月11日以上通勤する場合は原則全額、8~10日は2/3、4~7日は1/3に按分されること
- PendlereuroはPendlerpauschaleの資格があることが前提
- 雇用主から通勤用の会社車両が提供される場合などは対象外となる場合があること
注意点
最も重要なのは「所得控除」と「税額控除」を混同しないことです。Pendlerpauschaleの3,672ユーロは課税所得から差し引く額で、3,672ユーロが現金で戻るわけではありません。一方のPendlereuroは税額控除で、2026年は片道距離×6ユーロが年額の基本計算です。実際の税負担軽減額は個人条件で異なります。
この制度のポイント
- 最大3,672ユーロは「現金給付」ではなく所得控除
- 2026年Pendlereuroは1kmあたり年2ユーロから6ユーロへ3倍
- 公共交通の利用可能性と距離で小・大Pendlerpauschaleが分かれる
- 月の通勤日数が少ないと2/3または1/3へ按分
- Pendlerrechnerの結果を給与計算または年次税務精算に使用
よくある質問
Q. 3,672ユーロがそのまま返金されますか?
いいえ。3,672ユーロは最大の所得控除額です。実際の節税額は課税所得や税率などで変わります。
Q. 電車通勤でも対象になりますか?
なり得ます。2026年のPendlereuro増額についてBMFは、自動車か鉄道かを問わず通勤者の負担軽減を目的としています。ただしPendlerpauschaleの区分判定は公共交通の利用可能性等で変わります。
Q. 週1~2日の出社でも利用できますか?
月4~7日の通勤なら原則1/3、8~10日なら2/3、11日以上なら全額という按分ルールがあります。
Q. 通勤距離は自己申告だけで決められますか?
原則としてBMFのPendlerrechnerを使って距離と条件を判定し、その出力を税務上の根拠にします。
公式情報
- BMF「Allgemeines zum Pendlerpauschale」
- BMF「Weitere Informationen zur Pendlerförderung」
- BMF Pendlerrechner
- BMF「2026年Pendlereuro増額」




