助成金なうでは、自治体のご担当者を対象にして、現在、力を入れている取組や助成金・補助金について詳しくお伺いしております。
自治体・財団の取組や担当者の想いを地域の事業者様へ周知し、興味・関心を持ってもらうことで、その地域の活性化に貢献することを目的としています。
今回は、青森県弘前市 商工部 産業育成課 産業振興係様の兼平様・須藤様にインタビューさせていただきました。
Q1.現在所属されている部署の業務について教えてください。
弘前市の商工部 産業育成課 産業振興係では、主に企業誘致や誘致企業のフォローアップ業務、創業・起業支援、スタートアップ支援、産学官連携業務などを担当しています。
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Q2.今回、弊社のインタビューを受けていただいた理由を教えてください。
当市は、産業振興や雇用創出を目的として企業誘致に取り組んでいます。
特に、若者の地元定着を目指して情報サービス関連産業などのオフィス系企業の誘致に力を入れており、企業誘致に関する補助金制度のPRができる良い機会と考えたためです。
Q3.市(特産、産業など)の魅力をお教えください。
観光面では日本一の桜(弘前公園で開催される弘前さくらまつり)や夏の弘前ねぷたまつり、特産品では生産量日本一のりんご、産業分野では電子デバイスや業務用機械等のものづくり企業の集積が魅力です。
また、弘前市では、「健康都市弘前」を市政の基軸に据えており、弘前大学COI-NEXTなどの健康医療に関する取組など、健康医療関連産業でのポテンシャルがあるところが魅力となっています。
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Q4.特に力を入れている補助金をお教えください。また、力を入れている理由や背景をお教えください。
弘前市が特に力を入れているのは、 「企業立地促進費補助金」 と 「オフィス環境整備促進費補助金」 の2つです。
まず「企業立地促進費補助金」は、
情報サービス関連産業(情報通信業及びコールセンター業)や弘前市が重点的に取り組む健康医療関連産業などの企業誘致を促進し、雇用機会の拡大や就業機会の確保を図ることを目的とした補助金です。
オフィスを借りる際に必要となる賃料や共益費、さらには従業員の増加に伴って必要となる駐車場代までを含めた合計額の4分の1が、上限なしで3年間補助されます。これは、オフィスを運営していくにあたって必要なランニングコストの補助となります。
こちらの補助金を利用するには雇用要件があり、月初めの時点で、3か月以上雇用している地元従業員が一定数在籍している必要があります。健康医療関連産業であれば2名、情報通信業であれば3名、コールセンター業であれば5名の在籍が条件です。
さらに、地元従業員を新たに雇用した場合、上記の人数を超えた分については、1人あたり30万円が補助される仕組みです。
もう一方の「オフィス環境整備促進費補助金」は、情報サービス関連産業(情報通信業及びコールセンター業)や弘前市が重点的に取り組む健康医療関連産業などの企業誘致を促進し、雇用機会の拡大や就業機会の確保を図ることを目的とした補助金です。
主にオフィス開設時に必要となる工事費用を支援するものとなっています。
対象となる経費は、内装工事、電気設備工事、排水設備工事など、借主負担となるオフィス整備に関わる工事費用です。ただし、机やパソコンなどの備品や、デザイン費・設計費は対象外となります。
補助率は2分の1で、上限は250万円です。誘致認定から1年以内の企業、またはその年度内に誘致認定を受ける予定の企業が対象となります。年度末に認定を受ける予定の場合でも、年度内にオフィス整備や操業準備を行うのであれば活用することができます。
また、補助金を利用するには雇用要件があり、年度末までに地元従業員を一定数雇用する必要があります。情報サービス関連産業であれば3名、健康医療関連産業であれば2名の雇用が条件です。さらに、補助金を受けたオフィスについては、3年間継続して事業を行うことが求められます。

Q5.企業立地促進費補助金では、情報通信業、コールセンター業、健康医療関連産業が対象となっていますが、なぜこの業種を要件としているのですか。
補助金の対象業種は、情報通信業・コールセンター業・健康医療関連産業の3分野に限っております。
まず、健康医療関連産業については、弘前市が掲げる「健康都市弘前」という政策の基軸に沿ったものです。市民の健康だけでなく、所得向上や住みやすさといった「まちの健康」も重要と考えており、その実現に向けて健康医療関連産業の創出及び誘致を進めています。
加えて、この分野は景気変動の影響を受けにくく、安定した需要が見込まれるため、重点的に誘致を図っています。
一方、情報通信業とコールセンター業については、現状、弘前市内には大規模工場を建設できる産業用地が少ないため、オフィス型産業の誘致に力を入れています。
情報通信業については、市内に弘前大学をはじめ6つの大学や工業高校があり、若い人材が豊富です。地元の新卒者が希望を持って就職できる場を確保し、地域に定着してもらうために対象業種としています。
コールセンター業については、女性や子育て中の方など幅広い層が活躍できる就業機会を提供できることから、誘致を進めています。
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Q6.補助金の申請状況はいかがでしょうか?
企業立地促進費補助金については、弘前市にオフィスを開設していただいた情報通信業又はコールセンター業の誘致企業様から年間5件程度申請いただいております。
Q7.情報通信業、コールセンター業、健康医療関連産業の誘致により、地域経済や雇用面でどのような変化を期待されていますか?
人材の地元定着に期待しています。国立大学である弘前大学からは学部卒で毎年約1,000名の卒業生が出ていますが、そのうち800名超が企業などに就職しているものの、約7割(令和7年3月卒業生ベース)が県外企業へ就職しているのが現状です。地元に残るのは3~4割程度にとどまっています。学生としては、地元に残りたいと考えている方も多いようですが、地元に希望する仕事が無く、やむを得ず県外企業に就職している例もあると聞いております。そこで、学生が希望する仕事を地元で確保できるよう、特にIT系の情報通信業の企業を誘致し、若者の地元定着につなげたいと考えています。
コールセンター業については、主に主婦層の雇用機会を生み出す点で大きな効果があります。特に、弘前市は優秀な人材が多く、産休・育休後に働きたいと考える方々の受け皿になっており、地域の雇用を支える役割を果たしています。
健康医療関連産業の創出及び誘致は市の最重要政策の一つであり、弘前大学との連携を軸に推進しています。具体的には、弘前大学COI-NEXTというプロジェクトに市も参画しており、当市岩木地区の市民を対象にした多項目の健康診断を行い、弘前大学ではその結果をビッグデータとして蓄積しています。このデータを活用した健康に資する新しい技術やサービスの研究開発が期待されております。
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Q8.弘前市の補助制度は近隣自治体や全国の他の都市と比べてどのような特徴がありますか?
各自治体で用意されている補助メニューは概ね網羅していると考えています。そのうえで、弘前市が特に力を入れており、優位性があるのは「企業立地促進費補助金」です。
この補助金では、オフィス賃料や人材確保に関する経費が対象となり、人材確保については1人当たり30万円を交付しています。同様の補助は青森市、八戸市でも設けられていますが、これらには上限額が設定されています。一方、弘前市には上限額がなく、採用人数に応じて30万円×人数分を補助できる点が大きな特徴です。また、青森県でも同様のオフィス賃料の補助制度があり、青森県の補助金と併せて活用していただけます。
オフィス賃料についても、他自治体の多くは「月額のオフィス賃料」のみが対象ですが、弘前市では「共益費」や「駐車場代」も対象経費に含めています。
しかも、オフィスに付随する駐車場に限らず、近隣の月極駐車場を別途、会社で借り上げる場合でも補助の対象となります。こうした点において、弘前市の制度は他自治体に比べて優位性があるといえます。
Q9.制度を通じて実現したいビジョン、目指す社会の姿があればぜひお聞かせください。
企業誘致を促進し、雇用機会を拡大することで地域の活性化を目指しています。
人口流出・人口減少が進むなかで、地元に働く場が少ないことが大きな要因の一つとなっています。弘前大学の学生をはじめ、若者が「やりたい仕事」を求めて県外に出てしまう現状を改善するためにも、自治体として多様な仕事の選択肢を地元に増やし、市民が地元でやりたい仕事を見つけられる環境を整えることが重要だと考えています。
さらに、企業誘致を通じて市外・県外に本社を持つ大手企業が進出すれば、開設時に本社からの人材支援が必要となるため、移住者の増加による人口の増加も期待できます。加えて、外部企業が持ち込む新しい発想やノウハウは、市内企業との連携を通じて経済の活性化を促し、新たな産業やビジネスの創出にもつながる可能性があります。
これまでの取り組みは人材の定着・確保や雇用拡大が中心でしたが、今後はそれに加え、外部企業の誘致による産業創出や経済循環の促進を図り、地域全体の持続的な発展へとつなげていきたいと考えています。
Q10.市民や事業者の方に伝えたいことがあれば一言お願いいたします。
弘前市では、地域経済を取り巻く環境変化への対策と若者の雇用の場の創出などを目的に健康医療関連産業、情報サービス関連産業の企業誘致を進めております。
このような健康医療関連産業、情報サービス関連産業の誘致を進めるため、弘前市への立地に際して必要となるオフィス改修等のイニシャルコストのほか、立地後のオフィス等賃料や新規従業員の雇用に対する奨励金といったランニングコストを支援する補助制度をご用意しております。
また、弘前市では、健康医療関連産業やものづくり産業等の工場や事業所が立地する用地の不足や情報・デジタル関連産業のオフィス立地へ対応するため、需要動向を捉え、企業立地が可能な地域の拡大や集積等を図ることを目的に、新たな産業用地の整備等も含めた、当市の将来に向けた企業立地の方針を定める戦略プランを令和7年3月に策定し、企業誘致の取組を進めております。
ぜひ、弘前市での立地を検討いただける事業者様はご連絡を頂ければ幸いです。

【参加無料】令和7年度 弘前市企業立地セミナー in 東京
東京都にて、弘前市企業立地セミナーを開催します‼
首都圏等の企業様を対象に、弘前市の企業誘致戦略や立地環境をPRします!
今回のセミナーでは、今年3月に策定した企業立地戦略プランを基に、弘前市の強みや現状、健康医療関連産業の誘致、新たな産業用地整備の検討などの取組等について、市長が自ら語ります。
【開催日程】
令和7年10月1日(水) 13時00分から(開場:12時30分)
【会場】
ビジョンセンター東京日本橋 7階 701
【定員】
100名
【プログラム】
講演Ⅰ:弘前市長 櫻田 宏
講演Ⅱ:包括連携協定企業:appcycle株式会社 様
講演Ⅲ:立地済誘致企業:株式会社エントリー 様
懇談会
【申込方法】
下記の申込フォームに必要事項を入力し、お申込みください。
https://customform.jp/form/input/221818
【問い合わせ先】
担当:産業育成課 産業振興係
電話:0172-32-8106
メールでの問い合わせ
今回インタビューにお答えいただきまして誠にありがとうございました。
これからも助成金なうは、より一層特化した情報収集を進めていきます。
よろしくお願いいたします。






