助成金なうでは、自治体のご担当者を対象にして、現在力を入れている取組や助成金・補助金について詳しくお伺いしております。
自治体の取組や担当者の想いを地域の事業者様へ周知し、興味・関心を持ってもらうことで、その地域の活性化に貢献することを目的としています。
第3回は、静岡県磐田市役所 経済産業部 産業政策課の飯尾様にインタビューさせていただきました。
Q1.所属されている部署、担当業務のご説明をお願いします。
磐田市の経済産業部産業政策課の飯尾と申します。補助金と市内の産業活性化推進に関することを担当しています。
主な業務としては、支援機関様との連携等を行っております。
例えば、磐田商工会議所様、磐田市商工会様、また県の西部に浜松イノベーション推進機構様、ジェトロ浜松様などの、支援機関様との連携を行っております。
他にも経済産業部産業政策課では、企業様同士のお繋ぎに力を入れており、民間マッチングも実施しています。
Q2.今回、弊社のインタビューを受けていただいた理由を教えてください。
以前、別件で意見交換する機会をいただき、そのつながりの中で今回の機会をご提案いただきました。
市としても注力している補助金についてPRできる良い機会になるのではないかと考えたのが理由です。
Q3.市の特産や魅力について教えてください。
磐田市は農業が盛んで、県内では農業産出額が6位(令和4年)です。
全国トップクラスの日照時間を誇り、本州では1位(令和5年)です。この温暖な気候を活かした農業を行っております。
特産品は海老芋、シラス、お茶、メロンがあります。
その中の一つである海老芋は、京都の料亭などで提供されています。
次世代産業の誘致もしており、プリンセスパプリカや苺のほか、2年ほど前に海老の陸上養殖の施設ができました。
また、磐田市はものづくりのまちです。特に県西部では製造業が盛んで、製造品出荷額は県内4位(令和3年)となっております。
そして、磐田市はスポーツのまちでもあります。
Jリーグのジュビロ磐田、ラグビーの静岡ブルーレヴズも拠点があります。職員もジュビロのユニフォームを着て応援しております。卓球の金メダリストの水谷隼選手と伊藤美誠選手も磐田市出身です。
Q4.特に力を入れている補助金を教えてください。また、力を入れている理由や背景を教えてください。
ニつの補助金をご紹介させていただきます。
一つ目が「脱炭素投資促進事業費補助金」です。 こちらは市内の中小企業様向けの補助金です。
自社のCO2排出量を把握し、削減計画に取り組む市内中小企業様等を対象に、関連融資の借り入れにかかる手数料を補助するという補助金です。市と連携協定を締結している地域金融機関の融資商品を対象としています。
磐田市の今年度の主要事業の中で、地域中小企業様への脱炭素投資の支援を掲げています。
その一環として、磐田市に支店がある地域金融機関や経済団体と連携して、脱炭素の「経営促進ネットワーク」を今年度作りました。
今後様々な取り組みをしていきたいと思っており、企業様向けの脱炭素支援の中の第一弾として本補助金を創設して、力を入れているところです。
対象融資は省エネ目標に対して達成するかしないかで金利が変動するものです。毎年結果を金融機関に報告し、 その情報を市にも共有いただくということを条件にしているので、市内企業様がどのように脱炭素に取り組まれていて、どのような結果が出ているかという状況把握ができ、今後の施策検討の参考にもできると考えています。
サイトURL:https://www.city.iwata.shizuoka.jp/sangyou_business/kigyou_shien/1011014/1013274.html
ニつ目が「人材育成事業費補助金」です。 こちらも市内の中小企業様向けの補助金です。
経営基盤の強化や、次世代を担う人材育成のために、 新たに実施する人材育成事業、社員向けの研修、セミナーに対する経費を補助するものです。こちらは一企業様だけでなく、個人事業主や、複数社合同、組合様などの団体、中小企業者様が組織する団体も対象としています。
磐田市の今年度の主要事業の一つとして「磐田ここからラボ」があります。 企業様に限らず、市民の方々のリスキリングなど、多様な学びを推進するものです。コンセプトとしては「校舎のない学び舎」のイメージです。
その主要事業の中の対企業様向けとして我々の課が取り組んでいるものが、本補助金です。 こちらは令和4年度から始めて3年目になり、引き続き注力している補助金です。
サイトURL:
https://www.city.iwata.shizuoka.jp/sangyou_business/kigyou_shien/1011014/1010697.html
Q5.こちらの二つの補助金はどのような方におすすめしたいですか?またどのような事業者様からの応募に期待していますか?
「脱炭素投資促進事業費補助金」は、脱炭素経営に取り組む事業者様です。
業種に限らずカーボンニュートラルは、持続可能な経営のためにどの企業様も取り組むべき課題だと思います。経営規模の大きな企業などは、組織的に脱炭素に取り組んでいると思うのですが、中小、小規模事業者にとってはハードルが高いのが現状です。
そのような方々に向けて支援することで、地域産業全体のカーボンニュートラルを進めていきたいと考えています。
「人材育成事業費補助金」については、従業員の社員教育に力を入れている皆様には活用しやすい補助金だと思っていますので、人材育成に力を入れている方々に使っていただければと思っています。
Q6.こちらの二つの補助金の申請状況はいかがでしょうか?
2024/12/27現在、「脱炭素投資促進事業費補助金」の申請は現在15件です。
事業者が脱炭素経営を進める中で、まず現状を把握した上で、削減計画を立て、必要な投資を行うことが重要と考えています。静岡県内では、複数の金融機関が温室効果ガスの見える化ツールとして「しずおかGXサポート」というツールを取引先企業へ無償提供しており、今後導入される事業者は増加すると見込んでいます。
「人材育成事業費補助金」の申請は現在6件です。
社内人材への投資やリスキリングに力を入れている企業様は一定数いらっしゃると理解しており、対象も新たに学ぶものであればよいというところで広い範囲を対象とした補助金ですので、一層周知していきたいと考えています。
Q7.「脱炭素投資促進事業費補助金」は申請15件、「人材育成事業費補助金」は申請6件ということですが、多く活用されている業種はありますか?
「脱炭素投資促進事業費補助金」については、製造業が多いです。割合でいうとおよそ7割は製造業です。本市の産業構造として、製造業の割合が大きいことが背景にあると考えられます。
「人材育成事業費補助金」については、特定の業種への偏りはありません。
この補助金自体は、脱炭素投資促進事業費補助金と同様に、個人事業主や飲食業、サービス業等でも申請いただけますので、個人事業主や飲食業、サービス業等に向けてPRできるといいと思っています。
Q8.「人材育成事業費補助金」は、接遇研修などの一般的な社会人としてのスキルを学ぶような研修も対象になるのでしょうか?
接遇研修も対象になります。ハラスメントや、一般常識のスキル、業務に特化した内容も対象になります。
補助金の目的が「リスキリング」や「学び直し」のため、対象となる研修を広く捉えています。
Q9. 磐田市には「販路開拓支援補助金」があり、様々な事業者様が使えるという点で問い合わせも多くあると思われますが、今後の力の入れ方などを教えてください。
「販路開拓支援補助金」については、今年度は予算上限に達し受付が終了しています。
展示会補助金の名称でスタートし、需要に応じて対象を変え、内容によって金額を分けて行っています。現在は、販路開拓事業と展示会等出展事業があります。
web広告やコンサルティングなど、売上向上につながるものという条件にして、市としては引き続き力を入れています。
先ほどの課の業務紹介でご説明した民間マッチングに力を入れているのですが、課の強みとして、企業訪問をどこの自治体よりも行っていると自負しています。販路開拓の話を聞いた際はそこからご案内しています。
今年行った事業では海外展開や海外への販路拡大の事業も行っていたので、併せてご活用いただいたことで、販路開拓の需要は多いです。
需要という点では、「DX補助金」もあります。こちらもニーズが多く、受付終了になっている状態です。
たくさんの企業訪問をする中でニーズを聞いて、それが補助金なのか、専門家のへお繋ぎなのか、企業様のご紹介をするのかなど、内容を振り分けながら動いています。
まずはお気軽に御用を聞きに回っているので、その中で支援していきたいという思いは強く持っています。
Q10. 最後に、市民の方や事業者の方にお伝えしたいことがあればお願いします。
今回ご紹介した補助金に限らず、 我々の課では企業様向けに様々な支援メニューをご用意しています。
その中の一つで特徴的な事業があり、名称が「おせっかい支援事業」と呼んでいるものがあります。
市内企業様に市の職員が訪問して、課題を伺い、支援機関の専門家さんと一緒に徹底的におせっかいすることで、悩み事の解決に向けたお手伝いをしています。
例えば、専門家派遣を無償で活用できる国の事業のPRを行ったり、企業様と他企業様とのマッチング等の支援を行ったりしています。
規模の小さい中小企業様ですと、補助金申請がよくわからないというご意見があります。そのため、窓口に来た人だけでなく、他の支援メニューのご紹介も併せてご説明し、場合によっては訪問した時にご説明するなど、おせっかいしながら関係性を構築し、支援していきたいと思っています。
まずは本当にお気軽に、補助金に限らず、お気軽にご連絡いただければと思います。
課としてはフットワーク軽く動いていくという意識があるので、ぜひよろしくお願いいたします。
今回インタビューにお答えいただきまして誠にありがとうございました。
これからも助成金なうは、より一層特化した情報収集を進めていきます。
よろしくお願いいたします。