キャリアアップ助成金、両立支援金助成金、人材確保等支援助成金など、厚生労働省の労働関係助成金は全国の多くの中小企業に利用されています。
ところで、助成金の支給申請をする前に生産性を向上させた場合、助成額が加算されることがあります。いわゆる生産性要件というものです。
今回はこの生産性要件について解説します。
1.助成金を申請する前に生産性を向上させよう!
平成29年度から各助成金(全てではありません)について、生産性要件が設けられました。
厚生労働省のHPによると、「我が国は今後労働力人口の減少が見込まれる中で経済成長を図っていくためには、労働生産性を高めていくことが不可欠です。このため、事業所における生産性向上の取組みを支援するため、生産性を向上させた事業所が労働関係助成金(一部)を利用する場合、その助成額または助成率の割増等を行います。」とあります。
例えば、キャリアアップ助成金(正社員転換コース)を申請した場合、有期契約労働者を正規雇用労働者に転換すると、受給額は1人当たり57万円となります。しかし、生産性要件を満たせば、受給額が72万円に増額されます。
生産性要件の対象となる助成金は広範囲ですが、人材確保等支援助成金などのメジャーどころには生産性要件がくっついていると思っていいでしょう。
2.生産性要件を満たすためには?
では、生産性向上の取組を満たすためにはどのような要件になっているのでしょうか?
助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性が、3年度前に比べて6%以上伸びていることが必要です。
しかし、金融機関から一定の事業性評価を得ていれば、3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていればよいとされています。
事業性評価とは金融機関が当該企業に関して、市場での成長性、競争優位性、事業特性および経営資源・強み等を評価したものです。
3.生産性の計算のやり方
生産性の計算は以下の通りになります。
生産性゠付加価値(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数(日雇労働被保険者や短期雇用特例被保険者を除く)
4.生産性要件がある助成金
せっかく助成金を申請するのならば、生産性を向上させて支給額を増額させてからにしましょう!
ただし、生産性要件がくっついていない助成金もあるので、事前に確認しておきましょう。
(1)労働移動支援助成金
早期雇入れ支援コース
(2)中途採用等支援助成金
中途採用拡大コース、生涯現役起業支援コース
(3)地域雇用開発助成金
地域雇用開発コース
(4)人材確保等支援助成金
雇用管理制度助成コース、介護福祉機器助成コース、介護・保育労働者雇用管理制度助成コース、人事評価改善等助成コース、設備改善等支援コース、働き方改革支援コース、雇用管理制度助成コース(建設分野)、若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)、作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
(5)65歳超雇用推進助成金
高年齢者能力評価制度等導入支援コース、高年齢者無期雇用転換コース
(6)両立支援等助成金
出生時両立支援コース、介護離職防止支援コース、育児休業等支援コース、再雇用者評価処遇コース、女性活躍加速化コース
(7)キャリアアップ助成金
正社員化コース、賃金規定等改定コース、健康診断制度コース、賃金規定等共通化コース、諸手当制度共通化コース、選択的適用拡大導入時処遇改善コース、短時間労働者労働時間延長コース
(8)人材開発支援助成金
特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コース
(9)業務改善助成金
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