国や自治体の給付金は住民税非課税世帯などの低所得世帯限定のものが多いですが、その理由は単なる「社会的弱者の救済」だけではありません。
他にどんな理由があるのでしょうか？
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低所得世帯は”限界消費性向”が高い
限界消費性向とは「所得が増えた時にいくら消費するのかの割合」です。
低所得世帯は一般的に限界消費性向が高いと言われており、他の世帯と比べて、もらった給付金を生活費のために多くを使う傾向があります。
つまり、給付された金が消費に直結しやすいということです。
低所得世帯の消費が上昇
→消費先の企業の収入が増える
→従業員へ還元される
→従業員の消費が増える
→税収が増え、行政サービスが充実する
という循環となります。
それ以外の世帯は”限界消費性向”が低い？
一方、高所得世帯は「もらっても貯める」傾向にあります。
例えば、1万円の給付を支給しても、
高所得：2,000円消費、8,000円貯蓄
低所得：9,000円消費、1,000円貯蓄
となり低所得世帯の方がよりお金を使ってくれることになります。
給付金は効果があるのか？
2020年のコロナ禍に実施された、特別定額給付金（全国一律10万円）は、全体として約3割しか消費に回りませんでした。
低所得層ほど消費率は高かったのですが、コロナ禍による「将来不安」によって貯蓄傾向も強まっていました。
アメリカでも、バイデン政権時代に、景気刺激給付（Stimulus Checks）がなされ、低所得層を中心に消費が一時的に跳ね上がりましたが、効果は半年程度で減退し、インフレに陥りました。
給付金の課題
給付金については以下の課題が考えられます。
・雇用・医療・年金などが十分に受けられないという将来不安が強い：給付金を貯蓄に回す
・給付金が一時的であり、いつ出るか予測されている：消費に回りにくい
・給付の対象があいまいであり、不公平感がある：社会的摩擦や政治不信の温床になる
・地域・産業で消費先が存在しない：需要の波及が起きにくく効果が偏在する
まとめ
低所得者への給付は、短期的な消費喚起には理論的にも実証的にも一定の効果があります。
なお、将来不安・給付設計・制度の信頼性によってはその効果は大きく減退するため、単発のバラマキではなく、構造的・制度的な安心感の醸成とセットで実施することが不可欠となります。
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