地震、台風、大規模なシステム障害などの災害はいつ起こるかわかりません。発生した場合は、事業を継続させること自体が難しくなります。
しかし起こるかもしれない将来リスクに対して、あらかじめ備えてリスクを最小化することは可能です。
そうした備えは、自社の存続だけではなく取引先や顧客の損害を防ぐことにもつながります。またリスクに備えて訓練していた企業とそうでない企業の間では被災後の正常事業までのスピードは大きく異なります。
そこで経済産業省では、リスクに備えた事前対策に関する「事業継続力強化計画」の策定を中小企業に対して奨励しています。
今回は事業継続力強化計画について解説します。
1.「在庫は悪」から「災害に備えた在庫」へ
在庫が積みあがれば、不良在庫のリスクや運転資金の増大化をもたらすため、キャッシュフローの観点からはマイナス要素になります。
そのため、「できるだけ在庫を圧縮させることが正しい経営」という考え方がありました。
以前はこうしたスリムな経営がよしとされている風潮がありましたが、東日本大震災によって物流や製造機能がマヒし、需要への対応ができなくなくなり、企業経営のもろさを露呈しました。
そうしたことから、多くの企業は「在庫は悪」という考え方から脱却を図り、災害に備えて必要な在庫を蓄えておくようになりました。
2.事業継続力強化計画の中身
こうした事前準備の重要性を受けて経済産業省では、中小企業が積極的に防災・減災の事前対策に関する計画「事業継続力強化計画」を作り、それを経済産業大臣が認定する制度をつくりました。
事業継続力強化計画の中身は以下となります。
①企業の概要(連携型の場合は連携企業の概要)
②自然災害が事業活動に与える影響の認識(被害想定等)
③初動対応の内容
④事前対策の内容
⑤事前対策の実効性の確保に向けた取組
3.事業継続力強化計画の優遇措置
事業継続力強化計画が認定されると、経営革新計画や経営力向上計画と同じくさまざまな優遇措置を受けられます。
(1)税制優遇
防災、減災関連等設備の取得価額の20%の特別償却
(2)金融支援
日本政策金融公庫の低利融資、信用保証の別枠など
(3)予算支援
ものづくり補助金等の一部の補助金において審査の加点
特に(3)予算支援については、次年度の補助金申請を検討しているのであれば、公募が始まる前までに取得しておくことをおすすめします。
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